住友⼤阪セメントグループのセメント関連事業は、⽯灰⽯や⽯炭などの地球資源を利⽤して事業を⾏う性質上、直接・間接を問わず、周辺の⽣態系に影響を及ぼす可能性があります。企業として事業を継続していくには、我々は、地球環境に配慮し⽣物多様性を保全していくことが必要不可⽋と考えます。
「住友⼤阪セメントグループは、地球環境と事業活動の調和を図り、環境負荷の少ない⽣産・発電・物流の追求を通じて、豊かな社会づくりと地球環境保全に貢献します。」の環境理念のもと、鉱⼭や⼯場の周りで植林活動を実施したり、海洋製品を展開して海の環境を回復させるなどして、⽣物多様性の保護に積極的に貢献しています。
「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加
当社は「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに日本全体として生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護することを目指した、生物多様性の為の国際的な目標です。
経団連生物多様性宣言イニシアチブへの賛同
当社は経団連生物多様性宣言イニシアチブ※への賛同を表明しています。当社グループの企業理念が経団連生物多様性宣言の理念と一致しており、以前より当社グループでは生物多様性の保全として、鉱山跡地の緑化活動や海洋製品事業(魚礁・藻場礁)の展開、ツシマヤマネコ保護活動を行っております。
- 経団連生物多様性宣言イニシアチブは「経団連生物多様性宣言・行動指針(改訂版)」を構成する7項目のうち複数の項目に取り組む、あるいは全体の趣旨に賛同する企業・団体が参加するものです。
鉱⼭跡地の緑化
滋賀県⽶原市に位置する伊吹鉱⼭では、1971年から採掘跡地の緑化事業に取り組んでいます。これは国内の鉱⼭において企業⾃らが緑化に取り組む先進的な事例であると⾔われています。
1972年には滋賀県との間で鉱⼭の緑化を謳った⾃然環境保護協定を締結しました。また、岐⾩⼤学農学部の協⼒のもと確⽴した原⽣⽣物移植法は「伊吹⽅式」と呼ばれています。現在、緑化の開始から既に50年近くが経過し、当時植⽣した箇所には、草⽊が⾃⽣を始め、樹⽊と呼べるまでに成⻑しているところもあります。
また国内の他の鉱⼭でも、この⽅法を活かし、採掘跡地および集積場の緑化を進めています。
海洋製品事業の展開
当社では、コンクリートのプレキャスト技術を応用し、魚礁、藻場礁の製造・沈設の海洋製品事業を40年以上前から実施しています。
2000年頃からは日本近海の沿岸部において、地球温暖化などの影響により藻類が消失する磯焼けが見られるようになりました。魚の産卵場所や、稚魚の隠れ場所が減少し、結果として漁獲量が減少する為、当社では藻場再生の必要性から、藻場礁の製造・沈設の事業を開始しました。現在ではグループ会社の(株)SNCと共同で、海洋製品事業を展開し、海洋環境の保全に取り組んでいます。
近年は藻場のCO2を吸収・固定化する効果=ブルーカーボンが認知されるようになり、今後は藻場造成に取り組む自治体・民間企業が増えることが予想されます。まだ、ブルーカーボンという言葉もなかった頃から、約20年にわたり積み上げた当社の藻場増殖事業の実績とノウハウを駆使して、藻場造成の支援に取り組んでまいります。
磯焼け対策への取り組み
当社独自の苗床式による藻場増殖技術を用いた多機能型藻場増殖礁「K-hatリーフβ型」は、礁内で繁茂した海藻が、海藻の種を供給する「核藻場」として機能し、藻場の再生を行うものです。これは水産の公共工事においても画期的な取り組みであり、これまで長崎県を中心に3,800基以上の藻場礁の沈設実績があります。
漁場創設への取り組み
ハイブリッド⿂礁スーパーSK1300Sは、⾼さ20メートルの⼤型⿂礁であり、⿂の乱獲を防ぎながら資源を増殖していきます。⿂類の⽣態を研究した独創的な構造によって、業界ナンバーワンの集⿂能⼒を誇ります。
「ブルーカーボンクレジット」の購入
当社は長崎県五島市より藻場の再生活動を目的として発行された「ブルーカーボンクレジット」を2023年7月に購入しました。海洋製品事業の展開を更に推進するとともに、自治体との協力を通じて生物多様性の保全とCO2排出量の削減に一層貢献してまいります。
ツシマヤマネコ保護活動
粘⼟鉱⼭跡地で、「ツシマヤマネコ」を保護するため、⾃然環境を再⽣しています。
⻑崎県対⾺市⾈志(しゅうし)地区に、住友⼤阪セメントがセメント原料である粘⼟を採掘する⽤地として取得した森林(約16ヘクタール)があります。
しかし、セメント業界が積極的に産業廃棄物のリサイクルを進めたことで、セメント製造において使⽤していた天然の粘⼟を代替できるようになり、⼀度も粘⼟の採掘をすることなく遊休地となっていました。
この遊休地には、⽇本で最も絶滅が危惧されている種の⼀つである「ツシマヤマネコ」が⽣息していることがわかり、2007年から住友⼤阪セメントグループは、遊休地の森林の⾃然環境を守ることで保護活動への協⼒を始めました。
地元対⾺の⽅々と協⼒しながら、森の間伐やツシマヤマネコのえさとなるアカネズミなどの⼩動物が⾷べるどんぐりなどの実が育つ広葉樹の植林を⾏い、森を⼤きく育てることで、ツシマヤマネコの棲みやすい環境を⽣態系から整え、⾃然環境を再⽣しています。
国内希少野⽣動植物種ツシマヤマネコ
⻑崎県対⾺のみに分布。⽣息数は100頭弱(90頭または100頭)と推定されている(環境省HPより)。