ステークホルダーの皆さまへ

セメント関連事業と高機能品事業の両事業分野で安定的に成長し続ける企業グループを目指します

2019年3月期業績の総括

2019 年3月期(2018年度)は、各地を襲った地震や台風・大雨などの天候不順の影響もあり、セメント国内需要は、上期は前年並みにとどまったものの、下期は堅調に推移し、通期では対前年比101.7%(4,259万トン)となりました。住友大阪セメントグループでは、セメント販売価格の値上げ交渉に鋭意取り組みましたが、2016年度下期から続く石炭価格の上昇、石油や原材料などの価格上昇の影響を受け、セメント事業での売上高は1,936 億56百万円(前年同期比2.9% 増)となりました。

一方、高機能品事業分野においては、新材料事業は堅調に推移したものの、光電子事業、電池材料事業では販売数量が伸び悩んだことに加え、光電子事業の製品販売価格が下落しました。また上期には電池材料事業において減損損失22 億円を計上しました。

この結果、連結売上高は2,510億61百万円(前年同期比2.5%増)と増収となりましたが、連結営業利益141億78 百万円(同25.3% 減)、連結経常利益157 億99百万円(同21.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は77億99 百万円(同46.8%減)と大幅な減益となりました。

2019年3月期業績の総括

中期経営計画の進捗と今後の見通し

当期は、「2017-19年度中期経営計画」の中間年度でしたが、セメント国内需要が想定していた水準まで届きませんでした。また、石炭・石油などのエネルギー価格や原材料・資材の高騰など、計画の前提となる条件との乖離が出ており、進捗状況につきましては、計画に対して2018年度の営業利益は約5割、2019年度の営業利益の見通しは約6 割の水準となっています。

中期経営計画の最終年度となる2019年度は、セメント事業については、五輪関連の工事が一段落するものの、2018年度下期の流れを受けついで国内需要が堅調に推移すると思われ、価格面においても前期に行った値上げの効果が現れてきます。また、石炭の価格上昇も落ち着くと予想されています。高機能品事業については、光電子事業の改善、新材料事業では電子材料を中心に堅調な状態を継続できる見込であることから、営業利益の増益を見込んでいます。

引き続き、事業環境の変化に柔軟に対応し、適切な対策をとりながら、行うべきことは着実に実施していきます。

次期中期経営計画につきましては、2020年5月に発表する予定で、議論を重ねているところです。現中期経営計画で未達の分野や課題について、さらに取り組みを進める予定です。外部環境の変化に対応し、収益基盤の強化に向けた取り組みの手を緩めることなく、事業拡大への布石を打っていきます。

株主還元策について

2019年3月期の決算は対前年減益となりましたが、一定の利益を確保したことにより、配当につきましては、公表通り1株当たり55円、中間配当と合わせて、年間では株式併合後ベースで1株当たり110円としました。

中期経営計画では年間連結配当性向を30%程度としていましたが、今後は1 株当たり配当については年間100円を基本に事業環境・業績見通し・前期配当状況などを踏まえ増減させることとし、安定的・継続的な配当を実施していきたいと考えています。

また自社株買いについては、配当での還元を前提としながら状況を適切に判断し、最適なタイミングを捉えて実施したいと考えています。

マテリアリティの特定とSDGs への取り組み

住友大阪セメントグループでは、マテリアリティ(重要課題)を特定しました。当社グループの理念や事業内容に即した目標を検討した上で、部長・役員クラスによる議論を重ね、5つのマテリアリティを特定し、2019年7月に取締役会で妥当性を確認しました。

この5つのマテリアリティは、2020年度に策定する次の中期経営計画に織り込まれ、グループ全体で企業価値向上に向けた活動を推進していきます。また、マテリアリティに関連する重点的に取り組むべきSDGsを定め、ゴールの達成を目指していきます。

5つのマテリアリティ
  • 1. 豊かな社会の維持・発展に貢献
  • 2. 地球環境への配慮
  • 3. 循環型社会への貢献
  • 4. 人材の育成・活用
  • 5. ガバナンスの充実

事業展開 〜セメント関連事業と高機能品事業〜

住友大阪セメントグループでは、社会インフラの基盤となるセメントの安定供給を第一に掲げています。全国に4つのセメント工場と八戸セメント(株)、和歌山高炉セメント(株)、59のサービスステーション(SS)を有し、21 隻のセメントタンカーとトラックによる流通ネットワークを構築して、日本各地への安定供給体制を整えています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた首都圏の一連の工事は今年度には一段落しますが、リニア中央新幹線、北陸・北海道新幹線の延伸工事、福島第一原発関連の工事が既に始まっています。21年前の9.8 兆円から6 兆円にまで落ち込んでいた公共事業が2019 年度は7 兆円に回復し、しばらくはこのレベルが続くと見られ、今後は老朽化している橋梁やトンネルなどの修復工事、上下水道の整備などが順調に行われると予測されます。また、国土交通省も治山治水などの国土強靱化を進める方針を示しており、セメント需要も一定の水準を確保できると思われます。

光電子事業、新材料事業、電池材料事業の3つの高機能品事業については、これまで事業の選択と集中を行い、光電子事業と新材料事業でそれぞれがニッチな市場において世界での存在感を維持してきています。いずれも最先端の事業とイノベーションに欠かすことができない製品で、市場も高い成長性を見込んでいます。今後も研究開発を進め、取引先の動向やニーズを的確に把握して、品質を改良しながら、安定供給に努めていきます。

地球環境への配慮

住友大阪セメントグループでは、それぞれの事業や製造工程において、環境負荷の低減に向けた努力を継続して行っています。セメント事業においては製造工程で石灰石や石炭などの天然資源を消費し、温室効果ガス(CO2)を排出しています。このため当社グループでは、特に気候変動の問題を重要な経営課題として捉えています。事業リスクとして、温室効果ガス排出規制の強化や自然災害による工場操業・サプライチェーンへの影響、事業機会としては、リサイクル推進やインフラ整備に伴うセメント製品の需要増が考えられます。今後は、社内に中長期のCO2排出削減についてのワーキンググループを作り、当社グループの目標設定や取り組みを検討していきます。

1. 気候変動への取り組み

CO2排出削減に向けて、具体的に3つの取り組みを既に進めています。また、環境部門には技術者を配置し、排出削減技術の研究や開発にも力を入れています。

1つ目は、セメント製造の熱エネルギーとなる石炭(化石エネルギー)の代替として、廃プラスチック類、廃白土、廃油・再生油、廃タイヤ、木くず等のリサイクル使用です。

2つ目は、セメント製造工程における省エネルギー設備の導入で、最新式のクリンカ急冷装置(エアークエンチングクーラー)などの省エネルギー設備を導入しているほか、焼成設備であるキルンのバーナー改良工事や新型バーナーの設置を行い、エネルギー原単位低減を図っています。

3つ目はバイオマス発電です。当社グループでは、他社に先がけて栃木工場で木くずを使ったバイオマス発電設備が2009年から本格稼働しています。また、他の工場でも火力発電所で熱エネルギーの一部をバイオマスに置き換えて、石炭の使用を抑制しています。また、高知県や栃木県では、植林や間伐を行って地域の森づくりに協力するなどの活動も行っています。

2. 生物多様性の保護

当社グループは天然資源を原料としていることから、自然の生態系についても強い関心を寄せています。セメントの原料となる石灰石を採掘した後の鉱山に草木を植える「鉱山緑化」に取り組んでいるほか、2007年から、長崎県対馬に生息する絶滅危惧種「ツシマヤマネコ」の保護活動を行っています。さらに、長崎県近くの海域での海洋製品事業(魚礁による藻場の再生)を展開して周辺環境の保護、再生を進めています。

循環型社会への貢献

セメント工場は、産業廃棄物や副産物を受け入れて、リサイクル処理し、原料や焼成工程のエネルギー源として使用するなど、さまざまな観点で循環型社会に貢献しています。現在、国内の火力発電所から出る石炭灰の大部分は、セメント業界が引き受け、リサイクルを行って代替原料としています。産業廃棄物だけでなく、地方自治体で発生した下水汚泥や、東京23区から出る一般焼却灰をセメント原料としてリサイクルしているほか、自然災害により発生した災害廃棄物の受け入れも行っています。

セメント業界ではここ20 〜30 年、こうしたリサイクル・リユースに力を入れていますが、リサイクル処理事業は循環型社会に貢献しているだけでなく重要な収益源ともなっています。

こうした活動をより多くの方々に知っていただくため、積極的に工場見学会を実施するなど、セメント事業の社会的価値に対する理解と関心を深めていただける機会づくりにも努めています。

人材の育成と活用

当社グループのさまざまな事業を支えているのは何よりも多様な人材です。セメント業界全体としても、まだまだ女性の採用や管理職への登用が少なく、今後これを積極的に推し進めていく所存です。

新卒女性の採用は全体の20%を目標としており、年々採用数も増えています。また、2018 年6月には、当社初となる女性部長が誕生しました。また、女性総合職も増えていることから、今後は配属先の職域の拡大を図り、多様な人材にとって働きやすい職場づくりを進めていきたいと考えています。

コーポレート・ガバナンスの充実

当社グループでは、経営の健全性、透明性を高めるため、コーポレート・ガバナンス体制の確立と充実に力を入れています。社外取締役は、独立性を保持しながら、取締役会において優れた見識と幅広い経験から意見を述べ、当社グループの経営を客観的に評価しています。

2018 年から取締役会の諮問機関として、指名・報酬委員会を設置しました。委員会は社長のほか、社外取締役と社外有識者で組織され、委員長は互選によって選ばれます。

株主・投資家の皆さまへ

株主や投資家の皆さまからのご期待やご要望に応えるため、当社グループではセメントの安定供給という使命を果たしながら、グループ力を高めて収益の極大化を図っていきます。

ESGへの取り組みは、住友の事業精神や当社グループの経営理念そのものであると思います。事業を通じて、循環型社会への貢献、地球環境問題への取り組みなどを進め、豊かな社会の維持発展に貢献していきます。

今後とも、住友大阪セメントグループの事業と成長に関心とご理解を賜りご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

代表取締役 取締役社長 関根 福一
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