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ステークホルダーの皆さまへ

セメント関連事業と高機能品事業の両事業分野で安定的に成長し続ける企業グループを目指します

2021年3月期を振り返って

コロナ禍の中、エネルギーコスト改善で増益を達成しました。

2021年3月期(2020年度)は、未曾有のコロナ禍の中で暗中模索しながら歩んだ1年となりました。

主力のセメント関連事業では、期初に緊急事態宣言などに伴う工事の一部中断もあり、セメントの国内需要は前期を5.6%下回る3,867万tまで低下しました。内需が4,000万tを下回ったのは1966年以来実に54年振りです。また、経済活動の停滞によるリサイクル品の発生減少、鉄鋼向け石灰石の需要低下なども業績に影響を及ぼしました。

高機能品事業では、データトラフィックの増加による伸長が期待されていた光通信部品の需要が米中貿易摩擦の影響を受けて期末に急減しました。これを受けて今後の所要を検討した結果、設備投資額の回収が難しいと判断し、光電子事業において減損処理を実施しています。また、新材料事業では、欧米の外出自粛・規制を受けて化粧品材料も売上減を余儀なくされましたが、半導体製造装置用部品の電子材料については、堅調に推移する半導体市場を背景に着実に回復していきました。

こうした厳しい事業環境のもと、セメントの国内需要低迷を主因に売上高は減収という結果となりましたが、利益についてはエネルギーコストの改善などにより、増益という結果で終える事ができました。

中期経営計画初年度の成果

中期経営計画では国内セメント需要の前提を4,100万tと想定していましたが、前提が大きく変わってしまいました。また、当然ながら、計画を策定した段階ではコロナ禍は織り込んでいません。国内需要の減少や新型コロナウイルスの影響がありましたが、中期経営計画の初年度は、原料・熱エネルギー代替の拡大、環境対策や計画的な補修工事の実施等、事業基盤の強化、将来の成長に繋げる為の対策を、しっかりと実行してきました。

今後も基本は中期経営計画に合わせた経営を着実に進めてまいりますが、時間の経過とともに事業環境の変化も生じるので、環境が変われば、それに対応しながら計画を進めていきます。

中期経営計画初年度の課題

セメント関連事業ですが、セメントの国内需要は大きな成長・拡大の絵を描く事は難しいですが、逆に大きく落ち込む事も考えられません。多発する自然災害からの復旧工事や防災・減災の為の国土強靭化に関連した需要だけでなく、リニア中央新幹線をはじめ各地の新幹線延伸、大阪・関西万博などのプロジェクトがある事を考えると、今後数年の国内需要は4,000万t内外で推移すると思われます。こうした中セメント事業では、化石エネルギーに代わるリサイクル品の受け入れを拡大する事で、原料・熱エネルギーコストを抑制し、収益力向上を追求していく事が大きな課題です。成長余地の大きな海外市場については現在の出資や輸出といった事業手法に加え、生コンクリート事業等の川下への進出の検討も必要でしょう。

また、国内のインフラを見ると、昭和40年代初期に造られた橋や道路が多数残っており、当時のコンクリートが50~60年と言われる寿命を迎える時期にさしかかっています。今後はこうした老朽化インフラに対する更新・補修案件への積極的な対応が必要であり、建材事業も堅調に推移していく事が見込まれます。鉱産品事業では、秋芳、唐沢、伊吹の各石灰石鉱山における設備投資を継続してきました。これら海外セメント、建材、鉱産品といったまだ成長余地のある事業に対する継続的かつ果敢なアプローチも重要な経営課題となっています。

高機能品事業では、好調な新材料事業の半導体製造装置用部品の電子材料では、需要変動に対応できるよう新たな設備投資を検討していく必要があります。一方、米中貿易摩擦の影響で需要が急減している光電子事業のLN変調器については、新製品である800G変調器の開発と欧米ユーザーに対する販売ルートの新規開拓が今後の課題です。

また、販売量は増加傾向ながら、海外メーカーとの厳しい価格競争に直面する電池材料事業についても、ユーザーの新規開拓に努める一方で、経営資源の“選択と集中”など事業展開の検討も視野に動向を注視していく必要があるでしょう。

住友大阪セメントグループが目指すサステナビリティ

2050年“カーボンニュートラル”ビジョン「SO-CN2050」を策定

当社グループが属するセメント産業は、循環型社会に対する貢献度が極めて高い産業です。廃棄物を原料や熱エネルギーとしてリサイクルし、二次廃棄物を一切出さないセメントの製造工程だけを見ても、社会の持続可能性に大きく寄与している事が分かります。

一方で、日本国内の産業においては電力、鉄鋼、化学に次いでCO₂排出量が多いセメント産業にとって、温室効果ガスの削減や脱炭素社会の実現は追求すべき最重要テーマであり、業界に課せられた使命でもあります。

当社グループでは、2020年4月にサステナブル対策委員会を設置し、同年12月には具体的な温室効果ガス削減目標と脱炭素社会の実現に向けた取り組みをまとめた2050年“カーボンニュートラル”ビジョン「SO-CN2050」を公表しました。この2050年“カーボンニュートラル”ビジョン「SO-CN2050」では、2050年までに排出量から吸収量と除去量を差し引いたCO₂の合計をゼロにするカーボンニュートラルへの挑戦を掲げています。さらに、そのマイルストーンとして2030年までにエネルギー起源CO₂排出原単位を2005年比で30%、排出量としては45%削減するという目標の達成をコミットしています。

また、気候変動問題やサステナビリティ課題に関わる取り組みの全社横断的な強化を目的に2021年4月には「サステナビリティ推進室」を新設するとともに、翌5月にはセメント・コンクリート研究所に「地球環境調和研究グループ」を設置しました。カーボンニュートラルの達成に不可欠な革新的技術の開発・導入や、事業基盤の革新といったイノベーションを追求していく事で、脱炭素社会の実現に挑戦していきます。

2050年 カーボンニュートラル ビジョン「SO-CN2050」

TCFD提言へ賛同

グループで推進していく2050年“カーボンニュートラル”ビジョン「SO-CN2050」に加え、2021年7月には、気候変動に関する企業対応の情報開示を促すTCFD提言へ賛同し、TCFDコンソーシアムへ参加しました。翌8月には、当社グループのCO₂排出量の大分部を占めるセメント事業を含むセメント関連事業と高機能品事業等、全事業における気候変動が及ぼす影響についてシナリオ分析を実施するとともに、TCFDが推奨する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」について開示しました。

  • TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)

ステークホルダーへのメッセージ

2050年“カーボンニュートラル”ビジョン「SO-CN2050」を策定

最後になりますが、この度の社長就任にあたってステークホルダーの皆さまにひと言ご挨拶させていただきます。

グローバル化や脱炭素化、DX化などを通じて社会を取り巻く環境が激変する今、企業には収益だけでなく社会貢献や環境配慮が求められるようになりました。さらに新型コロナウイルスの感染拡大によって、従来の秩序や価値観が大きく変わる可能性があります。

こうした中で当社グループは、コア事業であるセメント事業において販売店やユーザーの皆さまからの期待に応えられるメーカーであらねばなりません。国内セメント需要の大幅な増加が見込めない中、廃棄物や副産物処理の技術を向上させ、受入増量により収益力を向上させるとともに成長余地の見込める海外セメント事業や鉱産品事業、建材事業については事業拡大を図っていく考えです。また、高機能品事業では既存顧客のニーズに的確に応えるとともに、外部の知恵や知見も取り込みながら、魅力ある技術の提供に挑んでいきます。

2050年のカーボンニュートラルを目標に、当面はマイルストーンである2030年までに、300億円の投資を行っていきますが、その投資効果の早期発現に努めていきます。今後、事業環境の変化や技術革新のスピードが一層加速する中においては、変化を危機ではなくチャンスとして捉える意識や行動の転換が必要です。

これからも企業理念にある通り「多様な事業活動を通じて、豊かな社会の維持・発展に貢献する」事で当社グループの存在意義を示し、企業価値向上に尽力してまいります。今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役 取締役社長 諸橋央典
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