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ステークホルダーの皆さまへ

中長期ビジョン「SOC Vision2035」の策定

これまで当社グループには、営々として培われてきたものを明文化した企業理念がありましたが、今回の中期経営計画策定にあたり、新たに中長期ビジョンとして2035年の当社グループのありたい姿を示すことにしました。
なぜ中長期ビジョンを示すことにしたかというと、1つ目は当社グループが、どういった存在意義を持って社会に貢献していくのかを考え、社員全員が共通の価値観を持って将来に向かっていきたいということ。
2つ目は当社グループの持続的成長の為に事業構造を変革していきたいということ。
3つ目が当社グループの将来を担う若手に当社の未来に夢を持ってもらいたいということです。

1.共通の価値観

当社グループは、これまでセメントで社会インフラを支え、廃棄物を原料や熱エネルギーとしてリサイクルし、循環型社会に貢献することを主な存在意義としてきました。しかし、セメント事業以外の事業も行っている当社グループが、将来に向けて会社を更に成長させていく為には、社員全員の共通の価値観を明確にすることが必要だと考えました。
その共通の価値観は「環境解決」を通じた社会への貢献です。この「環境解決」にはいくつかの意味があります。

1)これまで以上に廃棄物をリサイクルすることで循環型社会に更に貢献すること
2)石灰石資源事業やツシマヤマネコ保護活動の支援を行っていることなどから、生態系などの自然環境にいっそう配慮していくこと
3)今後いっそう進化するスマート社会に対応した低消費電力のデバイス供給やシステムのソリューションを提供することでより良い生活環境を提供すること
4)脱炭素社会の要請に対応した熱エネルギーへの転換や新規事業を創出すること

これらは企業理念の「地球環境への配慮、豊かな社会の維持・発展に貢献する」ことに通じるものです。それぞれの事業を「環境解決」というキーワードで繋ぎ、その中で差別化や独自性を出していくことで社会に「存在感のある会社」を示したいと考えました。

2.事業ポートフォリオ変革について

当社グループの事業構造はセメント事業が中心ですが、2022年度は、エネルギー価格高騰の影響を受け、営業利益、経常利益、当期純利益のすべての損益が赤字となりました。事業の立て直しを進めている最中ですが、残念ながら、国内セメント需要は、将来にわたって大きく伸長することは期待できないことから、セメント事業に頼るだけでは、当社グループが今後持続的に成長していくことはできません。

その為に、セメント事業以外の事業分野、特に成長が期待できる光電子・新材料事業の拡大、脱炭素社会の要請に応えられる新規事業の創出により、セメント事業とそれらが並び立つ事業ポートフォリオに変えていく必要があります。

2035年には、具体的な数値目標として、全社売上高4,000億円を目指したいと思います。光電子・新材料事業の成長と新規事業の創出で、セメントとセメント以外の事業を50:50にしたいと考えています。特に新規事業は、ゼロから作りだす必要があり、決して簡単なことではありませんが、その為のリソースを積極的に投入していきます。

一方で、セメント事業も海外市場ではまだまだチャンスがあります。国内においてもこれまでの社会貢献を発展させつつ、脱炭素分野で業界をリードし続けながら、ビジネスモデルの変革を進め、常に安定収益源でなければならないと考えています。特に脱炭素分野に関しては、カーボンニュートラルビジョンである「SOCN2050」に向けた取り組みが極めて重要で、その為の投資は緩めないで進めていきます。

3.将来を担う若手への思いについて

2035年に掲げた数値目標はとても大きな目標ですから、これまでの延長線上を歩むだけでは到底到達できるものではありません。

今回の中期経営計画策定では、まず2035年の会社のありたい姿を考えてから、その実現の為に各事業でやるべきことを考えました。策定段階で見つかった多くの課題を解決することで会社を大きく成長させることができ、当社グループには、それができる大きなポテンシャルがあります。

その為に、若手社員には夢を持って計画にどんどん参加して欲しいし、チャンスを与えていきたい。今は非常に厳しい状況ではありますが、早期に業績を回復させ、社員の成長の為の投資や、給与水準をもっと上げていきたいと思います。

SOC Vision2035

『SOC Vision2035』のSOCは住友大阪セメント(Sumitomo Osaka Cement)の略称でもありますが、次の意味も持たせました。「S」は「Socialcontribution=社会貢献」、「O」は「Originality=独自性」、「C」は「Change & Challenge=変化と挑戦」です。SOCグループが2035年に向かって変化し、独自性を持って時代の要請に応える環境解決を図り、人々の生活をより良くし、社会貢献を行っていこう。そして、更にその先にあるカーボンニュートラルビジョン「SOCN2050」へ挑戦していこうという意味です。

「2023-25年度 中期経営計画」について

これまでの中期経営計画は各部門が現状の課題を整理し、その対策として今後3年間で行うことをまとめた積み上げ、ボトムアップ式の計画でした。そのアプローチは重要であり、今回の計画策定にもその考え方は取り入れていますが、それだけでは大きな外部環境変化があった場合、その対策に終始してしまい、当社グループが将来どうなっていたいのか、どこを目指して進んでいくのか、社会における存在意義は何なのかが、社外のステークホルダーに伝わりません。また、社員も中長期ビジョンがないと、時として日々の業務に自信を失ったり、将来に不安を感じることもあるでしょう。

そうした背景を踏まえ、今回は確固たる中長期ビジョンを定め、その実現の為に今回の中期経営計画でどこまで達しておく必要があるのかを示すこととしました。いわゆるバックキャスト方式です。私が当社グループのありたい姿を示し、その達成の為に各事業がどのように取り組むのか、その中でこの3年間具体的に何を行うのかをみんなが真剣に考え抜いてくれたと思います。

この「SOC Vision2035」と「2023-25年度中期経営計画」は大事な道標となります。今後も更なる環境変化や大きな難局を迎えることもあるでしょう。その時こそ原点に立ち返り、ありたい姿を思い出し、迷わないよう進んでいきたいと思います。

経営目標、指標について

2035年には全社売上高4,000億円を目指すと言いましたが、営業利益は400億円以上、ROEは10%以上、ROICは6.5%以上を目指します。

PBR1倍割れ企業の改善が話題になっています。当社が将来にわたり事業を継続していく為には、PBR1倍割れを改善する必要があり、その為に最も重要なのがROEの改善です。ただ利益を増やすだけではなく、資産が大きくなり過ぎないよう、次の成長への投資や、株主還元を行っていきます。

中期経営計画では2035年に目指す経営目標に向けて、2025年に到達しておきたい目標を掲げました。全社売上高2,650億円、営業利益214億円、ROE8.0%以上、ROIC5.0%以上を目指しますが、これからの3年は、赤字となっているセメント事業と光電子事業の業績を回復させ、新材料事業や海外事業への投資を積極的に行います。また新規事業の種蒔きを行い、次のステージで刈り取りができるようにします。それらの為の人材、研究開発、知財、DXの強化も積極的に行います。

当社は、これまで社内の論理や、かつての成功体験をよりどころに、判断基準を置くことが多く、顧客、ひいては社会にどういった価値を提供するかの視点がどこか弱かったのではないかと思います。今回の計画策定は、外部からどう映っているかを強く意識して考えました。

外部環境がめまぐるしく変化する中で、多様な価値観でものごとを考え、持続的な成長を続けていきますので、これからのSOCに期待して欲しいと思います。

代表取締役 取締役社長 諸橋央典
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