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気候変動対応

2050年"カーボンニュートラル"ビジョン「SOCN2050」

日本政府及び国際社会において、2050年カーボンニュートラル(CN)が希求されている中で、当社としても、エネルギー起源のCO2を可能な限り削減した上で、プロセス由来を含めたCO2排出全体をいかにCN化できるかが大きな課題です。2050年までに自社の技術革新・事業基盤の革新と共に、2050年時点での国内外のあらゆる削減方策を総動員して、カーボンニュートラルの実現に挑戦します。

2030年のCO2排出削減目標

住友大阪セメントグループのCO2排出削減対策実績レビュー

  • リサイクル品の利用技術確立とその供給システム構築により、国内トップクラスの化石エネルギー代替率とリサイクル品使用原単位を実現しています。
  • セメント製造工場では、一早くバイオマス発電設備を導入しました。また、地域森林整備事業とのタイアップも実施しています。
2050年 カーボンニュートラル ビジョン SOCN2050 2050年 カーボンニュートラル ビジョン SOCN2050

2030年の削減目標に向けた取り組み

2030年の削減目標に向けた取り組み

2050年に向けた取り組み方針

(セメント製造)セメント製造におけるエネルギー起源・プロセス由来CO2排出量「実質ゼロ」への挑戦

化石エネルギーの限界までの削減
  • 更なる技術革新によるCN対策
  • 非化石エネルギー(NH₃等)混焼焼成技術開発・導入
プロセス由来CO2排出削減技術の開発・導入
  • Ca含有リサイクル原料活用等石灰石代替技術の開発・導入
使用電力のカーボンフリー化
  • 再生可能エネルギーの活用
低炭素セメント・コンクリート製品技術開発・供給拡大
  • 少量混合成分増量
  • 混合セメントの拡大
革新的結合材料の開発・供給
  • クリンカに代わる低炭素結合材料の開発・供給
CCUSに係る革新的技術の開発・導入
  • CCUS技術のセメント製造プロセスへの導入(カーボンリサイクルによるCa含有廃棄物の資源化等)
  • 水素利用による工場排気カーボンリサイクル

(セメント製造以外)サプライチェーンを通じたCO2排出削減・社会全体の脱炭素化への貢献

輸送部門やオフィス部門でのCO2排出削減推進
  • 重機・輸送機械の燃料クリーン化
  • 再生可能エネルギーの活用
  • セメントタンカー
    セメントタンカー
高機能品事業分野の製品による省エネルギーへの寄与
  • 小型集積型光通信デバイス
  • 高機能LED封止材料

人工光合成用光触媒の開発

新規技術研究所においては2050年カーボンニュートラルに向けて、経済合理性と持続可能性を両立する水素製造に資する人工光合成用光触媒の研究開発を推進しています。植物が光エネルギーを用いて、水とCO2から有機物を合成する「光合成」に対し、人工光合成とは太陽光と当社独自技術を結集した「光触媒」の力で水を分解することで水素と酸素を作り出し、その水素を使用してCO2からメタンなどの有用物質を合成することです。合成されるメタンは次世代熱エネルギーとして、活用されることが期待されています。

環境解決企業として目指すべき未来 環境解決企業として目指すべき未来
  • 低コストでの水素製造可能な人工光合成用光触媒の開発

2050年カーボンニュートラルへのロードマップ

当社グループは、2050年までにカーボンニュートラルを実現する為、エネルギー起源CO2の削減だけでなく、研究開発への投資による技術革新にも取り組み、主原料の石灰石によるプロセス由来CO2も含めて以下の施策で削減していきます。

2050年CNに向けた10のステップ/10 Steps Stairway to SOCN2050


セメント産業のカーボンニュートラル達成の為には、多くの施策を組み合わせる「削減ミックス」を考える必要があります。本ロードマップではそれらの施策を開発段階に応じて3つの段階に分けて解説します。

確実性の高い施策

確実性の高い施策として以下のような施策があり、既に取り組みを始めています。

  • 化石エネルギー・総エネルギー削減

    エネルギー由来CO2の排出量削減に向けて、セメント工場での原料ミル最新鋭化などの省エネルギー・高効率な設備導入を進めます。当社グループの化石エネルギー代替率は業界トップクラスであり、エネルギー原単位についてもトップクラスの効率性を達成しています。

  • バイオマス・廃棄物エネルギー利用

    セメント工場で、リサイクル処理/受け入れ設備の投資を行い、バイオマス・廃棄物エネルギー(廃プラスチック、廃タイヤ、廃油など)の利用を増やし、化石エネルギー代替を進めます。栃木工場と岐阜工場においては2023年度で代替率60%を超えており、業界トップの位置を占めています。

  • 電力削減・カーボンニュートラル化

    セメント工場で使用する電力は約80%を自家発電設備により供給していますが、バイオマス等非化石エネルギーの最大化を図ります。栃木工場のバイオマス発電所では、石炭レス発電を可能としています。また、このバイオマス発電により、本社オフィス使用電力は実質カーボンニュートラルとなっています。更に、今後石炭から非化石エネルギーの燃料転換も検討していきます。

  • クリンカ比率低減によるセメント低炭素化

    セメント中の少量混合成分の上限を5%から10%に上げて、クリンカ比率低減を図る為のJIS改正作業に業界をあげて取り組んでいます。また、高炉スラグの分量増加等混合セメントの利用拡大を進めていきます。

  • Ca含有廃棄物原料化による脱炭酸削減

    一般焼却灰、廃コンクリート、廃石こうボードなどのCa含有廃棄物を収集し、「CO2を排出しないCa原料」として利用することで天然石灰石の使用量を減らします。

技術開発中の施策

プロセス由来のCO2削減に関しては排ガスからCO2を回収して有効利用するCCUSが必須です。

  • 人工石灰石の製造・利用によるCCU

    NEDO*のグリーンイノベーション基金での採択事業「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」では、右記図のように、Ca含有廃棄物からCaOを抽出しセメント焼成で発生するCO2と再結合させる「CaとCO2のデュアル・リサイクル技」で人工石灰石(CaCO3)を生成するCCUを価値創造を支える基盤住友大阪セメントグループのサステナビリティ実現します(2030年までに総事業費69億円の研究開発プロジェクト)。今後国内の製造拠点で人工石灰石を量産し、建設産業はもちろん、さまざまな産業での用途に販売していきます。 *国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

    事業イメージ図

     

  • カーボンリサイクルセメント(CRC)の製造

    で製造した人工石灰石を使用したカーボンリサイクルセメントを製造し、ゼネコンや二次製品メーカーに販売していきます。2025年の関西・大阪万博においては、住友館の建築物や物品の一部に、当社のCRCが使用されます。

  • CO2利用革新技術による新規事業(陸海のNETs)

    ネイチャーポジティブ企業としてセメント工場や発電所を最大限に利用する新規事業に取り組んでいます。バイオマス発電所の排ガス中のCO2を農林業へ利用する取り組みや、藻場増殖礁を進化させ、急速に注目を集めるブルーカーボンによるCO2固定も検討し、多様な新事業を創出し、次世代セメント産業の一つの姿を提案していきます。

調査検討中の施策

  • アンモニア・水素・合成メタンの活用

    2030年代後半を目指し、セメントキルンの燃焼に化石エネルギーとアンモニア/水素の混焼を用いる焼成技術の開発の検討を進めます。また、セメント工場の排ガスからCO2を分離回収して製造した合成メタンを燃料として活用する方法も研究していきます。

  • CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)

    CCUで有効利用できないCO2は地中に貯留(CCS)する必要がありますが、設備規模、コストなどにおいて課題があります。現在各地で検討が進んでおり、国内法も整備され始めています。サプライチェーンの構築が必要となる為、パートナーと協働検討を始めています。

オフセット

  • コンクリート供用中のCO2吸収(国際的コンセンサス)

    コンクリートやセメント製品はCO2を鉱物固定するCaなどが豊富に含まれ、大気中のCO2の鉱物固定源(NETs)として有望です。国際的にコンクリート構造物が供用期間中を通じて大気中のCO2を吸収・固定化する検討が進んでいます。当社は通常のセメントの2倍以上の大気中CO2吸収固定速度を持つNETs技術実装製品の開発・試験施工に成功し、実用化の目途を付けました。今後は定量的な評価方法のコンセンサスを得、CO2排出量をオフセットする可能性を検討しています。

「標準化戦略委員会」について

1. 多くのルール形成活動に参画

ISO/TC、JISをはじめ、業界団体である一般社団法人セメント協会、公益社団法人日本コンクリート工学会、公益社団法人土木学会、一般社団法人日本非破壊検査協会など、多くの団体のルール形成の場、委員会などに中堅・若手を中心とした委員を派遣し、ルール改正から新しいルールの創設などに関わり、積極的な提案を行っています。

2. 標準化戦略委員会を設置

セメント・コンクリート分野を中心に全社横断的な「標準化戦略委員会」を設置し、事業に関連する規格の動向を注視するとともに、海外規格や国際的イニシアチブなどの調査、国内市場、自社事業への影響評価にも取り組んでいます。特に、急速な変化の最中にある脱炭素、低炭素セメント・コンクリート、CCUS、ETS(排出量取引制度)などに関するルール形成の動きは重要な視点と捉え、広範な情報収集と分析を行う体制となっています。

標準化戦略委員会を設置

3. 標準化人財の育成とオープン&クローズ戦略

経済産業省より「日本型標準加速化モデル」が提示されたことを受け、当社では今後のオープン&クローズ戦略を進めるにあたり最も重要な施策の一つと考えられる標準化人財育成の為、前項「標準化戦略委員会」を核とした若手への「啓蒙・教育・機会の提供」を進めています。建設産業におけるルール形成はもちろん、グリーンイノベーション基金での取り組みをはじめとした多様な革新技術の研究開発に携わる際に、標準化を並走させることの重要性を組織として認識、オープン&クローズ戦略によるコア技術と新規市場の創出に向けた組織的実践に力を注いでいます。

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