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光電子事業

LN変調器
アプリケーションノート

LN変調器の構造

LN光強度変調器
LN光強度変調器
LN位相変調器
LN位相変調器

LN変調器の性能を規定するパラメーター

※表は横にスライドしてご覧いただけます。

変調器パラメータ 規格値(例) 左記パラメータ、値の説明
変調速度 10 Gbit/s 10Gbit/s(100億回/秒)のパルス速度に対応できる変調器である。
挿入損失 5dB以下 この変調器を使用するために生ずる損失で、最大5dBである。
駆動電圧(Vπ) 4V以下 所定の動作をさせるのに必要な駆動電圧は最大4Vである。
光帯域 8GHz以上 変調器の光パルス応答性を見る指標の1つであって、
光電気変換してみた周波数域の広さ。
基準より50%下った点までの周波数幅。
ON/OFF 消光比 20dB以上 変調器をON/OFF動作させたとき、
出力光の最大値(ON)と最小値(OFF)の比で、
ONの光を基準とするとOFFの光は100分の1以下であることを意味し、
光信号の1、0の明瞭さに関係づけられる。
偏波消光比 20dB以上 光には垂直と水平方向の2つの偏波が存在するが、
出力光の偏波は一方の主たる偏波に着目すると、
抑圧すべき偏波の大きさは100分の1以下である。

LN変調器の動作原理(強度変調器)

LN変調器の動作原理(強度変調器)
LN変調器の動作原理(強度変調器)

【動作の説明1】

  • 基本構造はLN変調基板上に2つの導波路① ②と2つのY分岐A,B及び電圧(電界)を加える電極よりなる。
  • 電圧がV0のとき、入力光はA分岐点で2等分して分かれ、導波路①②をそれぞれ通過しB分岐点で合流する。この時、2つの導波路に位相差が生じていないので2つの光はそのまま足し算となり信号は“1”となる。
  • 電圧がV1のとき、同様に2分割して導波路① ②を通過するがB分岐点で合流するとき位相が180°異なる。光の波は互いに打ち消し合って出力は0となる。(出力側の導波路を光波は伝搬せず、放散する光となる)
  • 2つの電圧差(V1-V0)は強度変調器の半波長電圧あるいはVπ電圧と言い、LN変調器の重要なパラメータである。特に高周波でのこの電圧値は小さいことが望ましい。
  • 電極に“10110・・・・・”のディジタル信号を加えると、電極の電圧は “V0→V1→V0→V0→V1・・・・”のように変化し、光のパルス“ 10110・・・・・ ”が生成されることが上記説明よりわかる。この“ 10110・・・・・ ”パルス繰り返しの速さは通常25~100億回/秒(10Gb/s伝送の場合)が行われ、最近では400億回/秒(40G)の動作が可能となっている。

【動作の説明2】

次に電気信号が光信号に変換される電子回路的な説明を行う。

  • 2次元座標軸の縦軸に光出力、横軸にバイアス電圧をとる。
  • LN強度変調器の変調曲線(トランスファーカーブ)はcos2乗の函数曲線となる。この曲線上に最大値と最小値の中間点(50%、あるいは3dB点)を設定する。(このようなバイアス電圧VBを設定すると言ってもよい)。
  • 図示するように、動作点を中心に電気デジタル信号は光デジタル信号に、電気光学効果を介して変換される。
  • 図中のVπ電圧は先に述べた半波長電圧であり、V0、V1に関係づけられる。

ちなみに、LN変調器に特有なDCドリフト現象とは、変調曲線が時間とともに横軸方向に移動する現象である。

LN変調器の動作原理(位相変調器)

LN変調器の動作原理(位相変調器)

位相変調器は伝搬光の位相を外部電圧で変化させる機能を持つ。
わかりやすくするため、電極間に電圧V0の場合と電圧V1の場合を考える。電極長 Lの間に電圧V0のとき光の山谷の波が10,000あったとする。電圧V1を加えたとき1山増加して10,001になったとする。
このとき位相は2π(360゚)変化したことになる。(V1‐V0)/2の電圧を、位相変調器の半波長電圧あるいはπシフトの電圧という。
πシフト電圧によって位相変化量の電圧感度がわかる。実際には、必要な位相変化量に応じた電圧がアナログ的に加えられて用いられる。
長距離の光ファイバ伝送では、自己位相変調効果といった非線型効果が顕著になり、光パルス波形をくずしやすい。これを、この位相変調器で補正するなどの応用がある。

LN強度変調器 ドリフト現象

LN強度変調器 ドリフト現象

上図の黒線はLN変調器へ印可するDC電圧に対する変調器の光出力パワーを示す。
これを変調曲線と呼ぶが、変調曲線は下記のどちらかまたは両方の事象が起こるとドリフトを起こす(赤点線)。

  1. ①DC電圧の継続的な印加(DCドリフト)
  2. ②温度変化(温度ドリフト)

LN変調器を用いて光変調を行うには、変調曲線のある一点(バイアス点と呼ぶ)を起点にして変調を行う。
一般的にはTop、Bottom、Quadrature(QuadratureとはTopとBottomの中間点)が選ばれる。

上図では変調曲線のBottomとなる(A)において変調を行うことを図示しているが、(A)に相当する電圧Vaを印加する必要がある。

上述の①や②により変調曲線はドリフトを起こすため、変調曲線のBottom (A’)に相当する電圧Va’への調整が必要となる。 このように印加電圧の調整が必要になることから、バイアス電圧制御と呼ぶ。

チャープ型変調器とゼロチャープ型変調器(ZカットとXカットの違いについて)

チャープ型変調器とゼロチャープ型変調器(ZカットとXカットの違いについて)

LN変調器の結晶軸(XおよびZ)はチャープ特性に影響を与える。
Zカットの場合はホット電極が導波路の真上にあるため電界がより効果的に導波路にかかり(電気力線の集中)、位相変化が生ずる。一方グランド電極下の導波路では電気力線が悪いため位相変化が小さい。この位相変化のアンバランスが以下に述べるようなチャープ特性に影響を与える。
Zカットは、その構造上二本の導波路にかかる効率が異なるためチャープを持ち、その値は約0.7である。一方Xカットは、その構造が対称であるため、ほぼゼロチャープとなっている。

バイアス電圧制御

バイアス電圧制御

前述の通りバイアス点は①や②によって動いてしまうが、LN変調器の出力光をモニタリングし、適切なバイアス電圧を継続して調整することで所望の変調を行うことができる。

弊社のLN強度変調器はバイアス電圧の制御用にモニタPDを内蔵している。
上図のような回路を組むことで、ファンクションジェネレータに搭載されるDCオフセット(外部DC電源を用いても可)を用いてオシロスコープの画面を見ながら所望のバイアス点になるように、手動でバイアス電圧の調整を行う。
このモニタPDの出力はLN変調器の光出力パワーとは逆相になっている点(右図参照)に注意が必要である。これは弊社のモニタPDは光導波路のY結合器にて放射光を用いているためである。

また市販の自動バイアス制御回路を使用する場合であっても、変調器内蔵のモニタPD出力信号を使用することもできる。

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