セメントコンクリート用語
か
- 乾燥収縮
-
硬化したコンクリート、モルタルなどが乾燥によって変形して縮む現象。一般に、コンクリートの乾燥収縮は、単位水量が多い程大きくなる。
- 化学的侵食
-
化学的侵食のメカニズムからみて大きく2つに分けられる。一つは、コンクリート中のセメント水和物と化学反応を起こし、本来水には溶解しにくいセメント水和物を可溶性の物質に替えてしまうことによりコンクリートを劣化、破壊させるもの。もう一つは、硫酸塩に代表されるものであり、コンクリート中の水和物と反応して新たな化合物をつくる際に膨張を伴うため、この時の膨張圧によってコンクリートを劣化させるもの。
- カソード反応
-
電流が電解液から電極に向かって流れる反応で、酸化反応が行われること。アノード反応によって生じた電子を消費するのがカソード反応である。
- 型枠
-
打ち込まれたコンクリートを所定の形状、寸法に保ち、コンクリートが適当な強度に達するまで支持する仮設構造物。
- 外部振動機
-
振動機を型枠に取付け、型枠に振動エネルギーを与え、内部のコンクリートを締め固める工法。表面は綺麗に仕上がるが、振動エネルギーが型枠に吸収されて、締固め効果が低下する。
- かぶり厚さ
-
鉄筋、PC鋼材、シースなどの表面から、それらを覆うコンクリート表面までの最短距離。
- 寒中コンクリート
-
コンクリート標準示方書では、"日平均気温が4℃以下になることが予想されるときは、寒中コンクリートとして施工を行わなければならない"と定めている。一方、JASS 5では、"コンクリートの打込み後の養生期間で凍結するおそれのある場合に施工されるコンクリート"と定義し、打込み日を含む旬の日平均気温が4℃以下の期間、もしくは、コンクリート打込み後91日までの積算温度M91が840°D・Dを下回る期間を寒中コンクリート工事の適用期間としている。
- 加熱養生
-
コンクリートの硬化促進のため、外部からコンクリートを加熱する養生方法。蒸気養生、温水養生、温風養生、オートクレーブ養生などの養生方法がある。
- 海洋コンクリート
-
海水に接するコンクリート及び波浪や海水飛沫潮風の作用を受けるコンクリートを、コンクリート標準示方書では「海洋コンクリート」、JASS 5では「海水の作用を受けるコンクリート」と呼んでいる。
- 間隙通過性
-
高流動コンクリートに要求される性能で鉄筋間や型枠間などの間隙を通過する際の通りやすさを示す性状。
- 管理限界線
-
工程が統計的管理状態にあるとき、管理図上で統計量の値がかなり高い確率で存在する範囲を示す線。
- 管理図
-
工程が安定な状態にあるかどうか調べるため、または工程を安定な状態に保持するために用いる図。
き
- 強熱減量
-
950±25℃でセメントを加熱したとき、揮発してしまう成分の合計量である。揮発成分は大半が水と炭酸分である。強熱減量は新鮮度の目安となり風化が進むと大きくなる。
- 凝結
-
セメントに適量の水を加えて練り混ぜると、可塑性のセメントペーストが得られるが、時間の経過に伴い、セメントペーストは少しずつその可塑性を失い始め、ついには全く可塑性を失い固化する。この現象を凝結という。JISでは始発と終結時間が規定されている。
- 偽凝結
-
セメントに水を加えて練り混ぜた直後に急にこわばって一時的に凝結したような状態になる現象。通常は、再練り混ぜによってこわばりは解消する。
- 気泡間隔係数
-
硬化コンクリートの凍結融解性の優劣を判断する重要な指標。試料中のすべての気泡がセメントペースト中に単純立法格子に配列された等大な球であるという仮定のもとに計算されている。気泡表面からセメントペースト中の点に至る最大距離に関連する量で、200μm程度にすることでコンクリートの耐凍結融解抵抗性が著しく向上する。測定方法は、ASTM C 457に規定されたリニアトラバース法または修正ポイントカウント法が最も一般的に用いられる。
- 気泡コンクリート
-
コンクリート内部に無数の微細な気泡を人為的に混入、または発生させた多孔質軽量コンクリート。
く
- 空気量
-
コンクリートの全体積に占める気泡の全体積の割合を百分率で表した値。コンクリートに適正な空気量を確保することは耐凍害性を向上させ、ワーカビリティーの改善に有効である。
- クリープ
-
コンクリートに持続して荷重が作用しているとき、乾湿や温度の変化による変形以外に変形が時間とともに増大する現象。湿度が低い、ペースト量が多い、水セメント比が大きい、空隙が多いコンクリート程クリープは大きくなる。
- クリープ係数
-
載荷後のある時間におけるコンクリートのクリープひずみと載荷時の弾性ひずみとの比
- クリープひずみ
-
クリープによってコンクリートに生ずるひずみ(クリープひずみを単にクリープということもある)。
- クリープ破壊
-
荷重が持続して載荷されたために破壊を生ずる現象。
け
- 減水剤
-
コンクリート中のセメント粒子を分散させる事により、そのワーカビリティーの改善や単位水量、単位セメント量の低減を可能とする混和剤。減水剤の品質はJIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」に規定されており、コンクリートの凝結時間の違いにより、標準形、遅延形、促進形の3種類に分類されている。
- 懸濁物質
-
JIS A 5308 に規定されているコンクリートの練混ぜに用いる水の品質項目のひとつ。試料をろ過材を用いて吸引ろ過し、ろ過材上に残留した物質を105~110℃の乾燥機中で乾燥して求められるろ過残留物質のこと。
- 現場配合
-
示方配合のコンクリートになるように現場における材料の状態及び計量方法に応じて定めた配合。工事現場における骨材の含水量、細・粗骨材の区別、材料の計量方法等を考えて現場における材料の計量に便利なように示方配合をあらわしたもの。
こ
- 高炉セメント
-
潜在水硬性を有する高炉スラグを混合したセメント。混合する高炉スラグの割合によりA種(5%を超え30%以下)B種(30%を超え60%以下)C種(60%を超え70%以下)の3種類に分けられる。初期強度はやや低いが、耐海水性、化学抵抗性、アルカリ骨材反応抑制に優れる。
- 高炉スラグ微粉末
-
高炉スラグは高炉で銑鉄を作る際に発生する副産物で、1500℃以上の高温溶融状態にある高炉スラグを水や空気により急冷した非晶質を粉砕してつくる乾燥微粉末である。セメントのアルカリ刺激で硬化する潜在水硬性を有し、主にコンクリートに混入して使用する。 JISでは比表面積により、4種類の品種がある。
- 骨材
-
モルタルまたはコンクリートを造るために、セメント及び水と練り混ぜる砂、砂利、砕砂、砕石、高炉スラグ細骨材、高炉スラグ粗骨材等で、コンクリート体積の約3/4を占める材料。また、骨材は母岩が気象作用やすりへり等の自然作用あるいは人工的な破砕によって粒状化されたものである。
- 骨材の吸水率
-
表面乾燥飽水状態の普通骨材あるいは表面乾燥状態の軽量骨材に含まれている全水量の、絶対乾燥状態の骨材質量に対する百分率 吸水率=(表乾質量-絶乾質量)/絶乾質量×100(%)
- 高炉スラグ骨材
-
高炉スラグ粗骨材は溶鉱炉で銑鉄と同時に生成する溶融スラグを徐冷し、粒度調整したもので、高炉スラグ細骨材は生成した溶融スラグを水、空気などによって急冷し、粒度調整したものである粗骨材は粒度、絶乾密度、吸水率、単位容積質量により、細骨材は粒度により区分がある。JIS A 5011-1に規定されている。
- 高性能AE減水剤
-
コンクリ-トの練り混ぜ時に、他の材料とともにミキサーに投入して用いる混和剤で、空気連行性をもちAE減水剤よりも高い減水性能および良好なスランプ保持性能をもつ。品質はJIS A 6204 に標準形と遅延形が規定されている。
- 降伏点
-
鉄筋の機械的性質のひとつで、弾性限界を超えて更に引張ると、ある箇所でひずみは大きくなっているにもかかわらず、力が一時的に抜けてしまう。この力が抜ける前の最大応力の点を上降伏点(単に降伏点)といい、力が抜けてしまった最小応力を下降伏点という。
- コンシステンシー
-
変形あるいは流動に対する抵抗性の程度で表されるフレッシュコンクリートの性質。主として水量の多少による軟らかさの程度で示される。コンクリートのコンシステンシーはスランプ試験、フロー試験、リモルディング試験、VB試験、貫入試験などによって測定される。
- コールドジョイント
-
コンクリートを層状に打ち込んだ場合、既設のコンクリートとその上に後から打ち足されたコンクリートの間の境界において生じる、両者が一体化していない継目または不連続面。重ね打ちする際、既設のコンクリートが固まり始めている場合に生じる。
- コンクリートポンプ
-
コンクリートを圧送管又はホースを通して機械的に連続して送り出す装置。ポンプには、スクイーズ式とピストン式の二種類がある。
- コンクリートバケット
-
コンクリートを運搬するための桶状の容器。タワー・クレーンなどによって打ち込み場所まで運搬される。
- コンクリートプレーサ
-
コンクリートを圧縮空気により輸送管を通して送り出す装置。トンネル等の狭い所への運搬に便利。
- 高強度コンクリート
-
一般のコンクリートに比べ、強度の高いコンクリート。一般のコンクリートと区別する強度レベルに関しては、コンクリート標準示方書では明確となっていないが、4章の高強度コンクリートには設計基準強度50~100N/mm2のコンクリートについて記載されている。一方、建築学会では、設計基準強度が、36N/mm2を超えるものと定義している。
- 高流動コンクリート
-
材料分離抵抗性を損なうことなく、流動性を著しく高めたコンクリート。流動性がきわめて大きいので、わが国では、その流動性の程度をスランプフローで評価している。一般には、スランプフローで550~650mm程度の範囲に入るものを呼んでいる。