人工石灰石を用いたCO2固定コンクリート製品の現場実証を完了 ~最大110kg-CO₂/m³固定し、公共工事で約3年間実証~
住友大阪セメント株式会社(本社:東京都港区、社長:諸橋央典)は、大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、社長:相川善郎)とともに、排出ガスから回収したCO₂を原料とする人工石灰石(合成炭酸カルシウム)を用いた「CO₂を固定したコンクリート製品」の、実構造物での実証試験を完了しました。

写真1. 人工石灰石を用いたCO₂固定コンクリートのプレキャスト製品
(左:落蓋式U形側溝 右:縦壁付矩形水路)
- 1.実証の背景
近年、建設分野においては資材の製造や施工時に排出されるCO₂の削減に加え、回収したCO₂を資源として活用するカーボンリサイクル技術の実装が求められています。
当社と大成建設株式会社は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業「CO₂を用いたコンクリート等製造技術開発」※1プロジェクトにおいて、排出ガスのCO₂をカルシウム源に固定することで人工石灰石を製造し、セメントやコンクリートに活用する技術の開発を進める中で、2022年10月の国土交通省直轄工事※2にCO₂固定コンクリートのプレキャスト製品を試行適用し、モニタリングと各種試験に取り組んできました。
参考:グリーンイノベーション基金によるカーボンリサイクルセメント製品が国土交通省直轄工事に試行適用(https://www.soc.co.jp/news/67592/)
2.今回の実証について
本実証では、環境の異なる国土交通省直轄工事※2の2現場に人工石灰石を用いたコンクリート製品を適用し、約3年間にわたり現地モニタリングと各種試験を行い、当該期間における製造・生産性、品質・耐久性の観点からCO₂の固定とコンクリートの実用性が両立することを実証しました。成果の一部は2026年3月に改正されたセメントの日本産業規格(JIS)※3に反映されました。
(1)CO₂固定量と実用性
CO₂固定量の異なる4種類のコンクリートに適用して実証を行った結果、1m³あたり最大約110kgのCO₂を固定し、用途や要求性能に応じた環境性能・構造性能のコンクリートを提供できることを実証しました。
(2)製造・生産性
特別な設備更新や製造工程の変更はなく、既存のコンクリート製品製造設備と同様の製造サイクル、検査基準で出荷できることを確認しました。
(3)実構造物での約3年間のモニタリング結果 耐久性
凍害による劣化が著しい寒冷地と、自動車の排ガスCO₂による中性化の進行※4が懸念されるトンネル坑内で実証の結果、ひび割れや表面剥離などはなく、強度低下や鉄筋の腐食も確認されませんでした。(写真2~3)

写真2.寒冷地での実証 成瀬ダム原石山採取工事(落蓋式U形側溝)※左は施工当初の写真

写真3.トンネル坑内での実証 荒島第二トンネル工事(縦壁付矩形水路)
4.今後の展望
本事業は今年度より、委託事業から補助事業(事業フェーズ、2026~30年度)に移行し、本技術の一層の高度化、適用範囲の拡大、設計法や技術指針類の整備などに取り組んでいきます。また、人工石灰石を用いたコンクリートの特性や施工性の評価のほか、これを用いた構造物の構造性能についても検討しています。
今後も、当社と大成建設株式会社はCO₂の有効利用手段の社会実装を加速し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
以上
※1 「CO₂を用いたコンクリート等製造技術開発」
グリーンイノベーション基金事業における「CO₂回収型セメント製造プロセスの開発」の一環のプロジェクトで、住友大阪セメント株式会社は多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立および炭酸塩利用技術の開発に取り組んでいる。
参考:https://green-innovation.nedo.go.jp/project/development-manufacturing-concrete-using-co2/
NEDOニュースリリース
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101955.html
※2 国土交通省の直轄工事
「成瀬ダム原石山採取工事(秋田県)」https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000907.html
※3 セメントの日本産業規格(JIS)の改正
JIS R 5210「ポルトランドセメント」、同R 5211「高炉セメント」、同R 5212「シリカセメント」、同R 5213「フライアッシュセメント」において、省資源化及びCO2固定化に向け、構成材料の一部に人工石灰石など石灰石と同等の品質をもつものの使用を可能にした(改正:2026年3月23日)。
※4 コンクリートの中性化の進行
コンクリートが表面から大気のCO₂など、酸性成分を吸収して強アルカリ性を失うことを中性化という。コンクリートは強アルカリ性であるため、鉄筋の表面に被膜が形成され、内部に水分や酸素が浸入しても鉄筋は腐食しないが、中性化した範囲では被膜が破壊されるため、鉄筋の防錆の観点から中性化の進行(速度)が耐久性評価において重要となる。
【PDFリンク】
プレスリリース(人工石灰石を用いたCO2固定コンクリート製品の現場実証を完了)
【本件に関する問い合わせ先】
住友大阪セメント株式会社 企画部 TEL 03-6370-2725
大成建設株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 広報室 TEL:03-5381-5011
NEDO サーキュラーエコノミー部 担当:川俣、安原、河守 TEL:044-520-5250