ニュースリリース

　住友大阪セメント株式会社（社長：諸橋央典、本社：東京都千代田区）が製造したCO₂を再資源化した人工石灰石を用いたカーボンリサイクルセメント(以下CRC)を原料に、大成建設株式会社（社長：相川善郎、本社：東京都新宿区）により製造されたコンクリート製品（Ｕ字側溝）が、9月30日に国土交通省の直轄工事「成瀬ダム原石山採取工事（第１期）」に適用され、10月31日に設置完了しましたので、お知らせいたします。

　当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）に採択されたグリーンイノベーション基金事業「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」に幹事会社として取り組んでいます。本事業はカルシウムを含む廃棄物とセメント工場の排ガス中のCO₂から人工石灰石を製造する炭酸塩化技術開発とともに、CRCの製造およびコンクリートへの利用，人工石灰石のフィラーへの適用などの炭酸塩利用技術開発の二つで構成され、大成建設株式会社など６機関と開発を進めているものです。

　今般、その炭酸塩化技術によって製造した人工石灰石を原料にしたCRCを用いたコンクリート製品が、国土交通省の直轄工事において試行適用されました。これはセメント製造で発生する主に石灰石から生じるプロセス由来のCO₂などを人工石灰石として再資源化することで、大気に放出せずコンクリート中に固定することから『セメントの製造プロセスでのCO₂排出原単位そのものを削減する取組』となります。

　今回用いた人工石灰石は、廃石こうボードに含まれる酸化カルシウムを抽出し、CO₂と反応させ人工石灰石として再資源化したもので、カーボンリサイクルに加えて廃棄物中のカルシウムもリサイクルするという二つの点で循環型社会に貢献する取組です。

　今後は他の廃棄物中のカルシウム源を利用した人工石灰石の製造，またＣＲＣの試行工事への適用を進めていきます。併せて、人工石灰石・ＣＲＣの品質、コンクリートに用いた場合の耐久性などの検証を進め、革新的なカルシウムのリサイクルとカーボンリサイクルシステムの社会実装とセメント産業のCO₂削減に取り組む予定です。