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ニュースリリース

2025年02月06日

【世界初】CO2再資源化人工石灰石を使用した複合化PP樹脂を開発

 住友大阪セメント株式会社(社長:諸橋央典、本社:東京都港区)は、日泉ポリテック株式会社(社長:一宮達、本社:愛媛県大洲市長浜町)と共に、CO2再資源化人工石灰石を使用した複合化ポリプロピレン樹脂(以下、本製品)の開発に成功しました。

 本製品は、世界で初めて原料に用いる石灰石をCO2再資源化人工石灰石(廃棄物に含まれるカルシウム源にCO2を鉱物固定※1して製造)に置き換えた複合化ポリプロピレン樹脂です。


1 本製品の製造イメージ

 1.背景
 当社は2022年2月より、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環である「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」の幹事会社として技術開発に取り組んでおり、高品位なCO2再資源化人工石灰石の生成に成功、実用化に向け様々な利用方法を検討しています。
 従来、炭酸カルシウムはセメント・コンクリートを始め、多くの産業分野で物性改善などを目的に『充填材』として幅広く使用されており、樹脂製品の製造過程でも石灰石由来の炭酸カルシウムが充填材として用いられますが、本製品ではこれをCO2再資源化人工石灰石に置き換えることで、CO2再資源化材料の樹脂分野での有効活用が可能となりました。

2.今回の成果
 今回の開発品では、クリアファイルなどに使用可能な軟質のポリプロピレン樹脂の原料に、解体系廃材の廃石膏ボードをリサイクルしたCO2再資源化人工石灰石を適用し、従来の樹脂製品にはない「CO2排出削減」と「埋立処分場の延命効果」を兼ね備えた環境性能を実現しました。

  • (1)製造過程における「CO2排出削減」

 本製品には1kgあたり約420gCO2を鉱物固定したCO2再資源化人工石灰石を、製品1kgあたり約300g使用することで、CO2の排出を削減しています。このようにCO2再資源化人工石灰石は、それ自身がCO2を固定化しているため、『単に混ぜるだけ』で高度かつ高効率なCCUを実現できます。

  • (2)廃棄物の再資源化による「埋立処分場の延命」

 現在、日本では埋め立て処分場の不足が深刻な問題となっており、特に廃石膏ボードの排出量は年々増加し、2050年には300万トンが発生すると予測される中、リサイクル処理技術が十分に確立していないため埋立処分される割合が高く、再利用方法の開発が社会的な急務となっています。
 CO2再資源化人工石灰石は、原料に廃石膏ボードをはじめとしたカルシウムを含む廃棄物を再利用しており、廃棄物を減らすことで埋立処分場の延命に貢献できます。

3.今後の展望
 今回の開発成果を用いた最初の製品は、世界の最先端技術が集う2025年の大阪・関西万博での住友グループのパビリオン『住友館』の記念クリアファイルで、廃石膏ボード粉にCO2を鉱物固定して製造したCO2再資源化人工石灰石を使用しております。


2 クリアファイルイメージ

 樹脂を使用した製品は多岐にわたり、カーボンニュートラルに広く貢献する可能性を秘めています。今後、住友大阪セメント株式会社、日泉ポリテック株式会社は、複合化ポリプロピレン樹脂以外の樹脂へのCO2再資源化人工石灰石の適用や、様々な製品への適用に向けた開発を進め、セメント樹脂業界の『産業間連携』で2050年のカーボンニュートラル実現を目指します。
 また、当社は『環境解決企業』として業界トップクラスの環境・材料技術を結集し、当社グループの掲げる 2050 年カーボンニュートラルに向けた取組方針「SOCN2050」のロードマップに基づいた多様なCO2排出削減への施策の遂行のため、新たな「SOC カーボンビジネス」の創出を継続的かつ着実に実行してまいります。

以上 

※1 鉱物固定 :CO2を鉱物(Ca)と反応させ、鉱物内に閉じ込める(石灰石に変化させる)技術
※2 NEDO   :国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
※3 CCU    :Carbon Capture and Utilization、CO2 を回収し有効利用する技術

【PDFリンク】
 プレスリリース(【世界初】CO2再資源化人工石灰石を使用したPP樹脂を開発)

【本件の製品に関するお問い合わせ先】
 住友大阪セメント株式会社 セメント・コンクリート研究所 TEL 047-457-0185
 日泉ポリテック株式会社 西条工場 開発部 TEL 0898-66-5300()

【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】
 住友大阪セメント株式会社 企画部 TEL 03-6370-2725
 日泉ポリテック株式会社 西条工場 総務部 TEL 0898-66-5300()

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