2024年10月31日
ブルーカーボン対応多機能型藻場増殖礁「藻場王」を開発
住友大阪セメント株式会社(社長:諸橋央典、本社:東京都港区)は、革新的なブルーカーボン対応多機能型藻場増殖礁「藻場王(もばおう)」を開発しましたのでお知らせします。
【藻場王】
当社は20 年以上前から独自の磯焼け対策製品を開発・事業展開し、海洋環境の保全に取り組んでおり、磯焼け対策製品としての藻場増殖礁の沈設実績は4,000 基以上、藻場増殖プレートは30 万枚以上の納入実績があります。今般、20 年以上にわたる販売実績をもつ藻場増殖礁「K-hat リーフβ型」、「K-bank リーフ」をベースとし、海藻増殖機能を増強すると共に海の環境保全機能も搭載した「藻場王」を開発しました。
【開発の背景】
地球温暖化の影響により海水温が上昇し、植食性魚類が活発化したことによって藻場が消失する「磯焼け」現象が全国で発生し、かねてより問題となっています。一方で近年では、海洋プラスチック問題や海洋の貧栄養化も深刻化しており、磯焼けと並行して様々な海洋環境課題を解決することが社会的な急務となっています。
【藻場増殖礁について】
藻場増殖礁とは、当社独自の技術である『種糸』を筏で中間育成し、魚の食害にも耐えられるよう“ある程度成長した海藻の幼体”を移植、磯焼け進行区域に効果的かつ継続的に海藻の胞子、幼胚を供給する拠点(核藻場)です。
藻場増殖礁とは、当社独自の技術である『種糸』を筏で中間育成し、魚の食害にも耐えられるよう“ある程度成長した海藻の幼体”を移植、磯焼け進行区域に効果的かつ継続的に海藻の胞子、幼胚を供給する拠点(核藻場)です。
図1. 沈設直後の藻場増殖礁『K-hat リーフβ型』(左)と、周辺に藻場が広がった様子(右)
【藻場王の特長】
1.製造段階のCO2 排出量を大幅削減
「藻場王」の基台コンクリートは、低炭素コンクリート(製造段階のCO2 排出量を大幅に削減したコンクリート)を適用可能で、本来の目的である海藻増殖機能に加え、複数の増殖礁から成る藻場造成システム全体でのCO2 削減対策を実施し、磯焼けの根本原因である地球温暖化の抑制に貢献します。また、独自の並列スリット構造を有し、波浪による転倒を防止します。
1.製造段階のCO2 排出量を大幅削減
「藻場王」の基台コンクリートは、低炭素コンクリート(製造段階のCO2 排出量を大幅に削減したコンクリート)を適用可能で、本来の目的である海藻増殖機能に加え、複数の増殖礁から成る藻場造成システム全体でのCO2 削減対策を実施し、磯焼けの根本原因である地球温暖化の抑制に貢献します。また、独自の並列スリット構造を有し、波浪による転倒を防止します。
図2. 藻場王の基台コンクリート
2.海洋生分解性プラスチックを適用
30 万枚以上の納入実績を誇る藻場増殖プレートは、磯焼けの進行度合いや種苗生産手法に応じて3 つのタイプの使い分けが可能です。今回、この藻場増殖プレートの材料に新素材として海洋生分解性プラスチックの利用を目指して開発を進め、その搭載に成功しました。海洋生分解性プラスチックは植物油などから作られたポリマーで、時間の経過と共に徐々に海中微生物により生分解されます。素材選択により適切な分解速度に調整可能なため、プレートの藻場増殖機能を維持する上では問題なく、海洋プラスチック問題の原因であるマイクロプラスチックも発生させません。
30 万枚以上の納入実績を誇る藻場増殖プレートは、磯焼けの進行度合いや種苗生産手法に応じて3 つのタイプの使い分けが可能です。今回、この藻場増殖プレートの材料に新素材として海洋生分解性プラスチックの利用を目指して開発を進め、その搭載に成功しました。海洋生分解性プラスチックは植物油などから作られたポリマーで、時間の経過と共に徐々に海中微生物により生分解されます。素材選択により適切な分解速度に調整可能なため、プレートの藻場増殖機能を維持する上では問題なく、海洋プラスチック問題の原因であるマイクロプラスチックも発生させません。
図3. 海洋生分解性藻場増殖プレート
3.海藻の生育に必要な栄養塩の供給
海藻の繁茂に有効な栄養は山や陸地から河川を通じて海に栄養塩として供給されていますが、近年では森林伐採やダム建設の影響により慢性的な供給不足となり、海洋の貧栄養化が深刻化しています。本製品は、新たに鉄やリンなど海藻繁茂に必要な栄養塩を含有した固体からゆっくりと溶出する部材を利用することで、継続的に栄養塩を供給する機能を搭載すべく開発を進め、長期間にわたり藻場再生対象海域周辺における貧栄養化を解消することを目指しています。
4.水中ドローンでメンテナンス・藻場観察を省力化
核藻場に取付られている食害防止ネットは、長期間放置すると汚れや破れが生じる恐れがあるため、現在は定期的に潜水士の人力作業で交換していますが、長時間の潜水作業、潜水士の減少・高齢化などの課題も顕在化しています。水中ドローンによるネットの付着物除去(核藻場の機能維持技術)や、カメラ画像を利用した藻場観察(面積、品種)による経時調査(データ化技術)などについて、国立大学法人長崎大学(学長:永安武、所在:長崎県長崎市)と共同で開発を進め、実海域での試験も実施しています。今後さらに、実海域での藻場観察・3D データ化、水槽内でのネットの付着物除去試験を実施し,実海域での付着物除去試験にも取り組んでまいります。
核藻場に取付られている食害防止ネットは、長期間放置すると汚れや破れが生じる恐れがあるため、現在は定期的に潜水士の人力作業で交換していますが、長時間の潜水作業、潜水士の減少・高齢化などの課題も顕在化しています。水中ドローンによるネットの付着物除去(核藻場の機能維持技術)や、カメラ画像を利用した藻場観察(面積、品種)による経時調査(データ化技術)などについて、国立大学法人長崎大学(学長:永安武、所在:長崎県長崎市)と共同で開発を進め、実海域での試験も実施しています。今後さらに、実海域での藻場観察・3D データ化、水槽内でのネットの付着物除去試験を実施し,実海域での付着物除去試験にも取り組んでまいります。
図4. 水中ドローンによる藻場増殖礁メンテナンスイメージ(提供:長崎大学)
【今後の展望】
政府は、2022 年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について、世界で初めて海草藻場及び海藻藻場における吸収量(ブルーカーボン)を合わせて算定し、国連へ報告しました。今後、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)への対応や、ブルーカーボン生態系保全の需要が更に高まることが予想され、効率的な藻場再生と環境負荷低減を両立したブルーカーボン生態系保全手法が望まれています。
当社は「環境解決企業」として、これまで蓄積した業界トップレベルの環境・材料技術を結集し、より効率的かつ環境負荷を低減した藻場再生、ブルーカーボンの創出に取り組みながら、様々な海洋環境問題の解決にも貢献できる『ネイチャーポジティブ企業』を目指します。
政府は、2022 年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について、世界で初めて海草藻場及び海藻藻場における吸収量(ブルーカーボン)を合わせて算定し、国連へ報告しました。今後、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)への対応や、ブルーカーボン生態系保全の需要が更に高まることが予想され、効率的な藻場再生と環境負荷低減を両立したブルーカーボン生態系保全手法が望まれています。
当社は「環境解決企業」として、これまで蓄積した業界トップレベルの環境・材料技術を結集し、より効率的かつ環境負荷を低減した藻場再生、ブルーカーボンの創出に取り組みながら、様々な海洋環境問題の解決にも貢献できる『ネイチャーポジティブ企業』を目指します。
以上
【PDF版リンク】プレスリリース(ブルーカーボン対応多機能型藻場増殖礁「藻場王」を開発)
【本製品に関する問い合わせ先】セメント・コンクリート研究所 TEL 047-457-0185 FAX 047-457-7871
【報道関係者問い合わせ先】企画部 TEL 03-6370-2725 FAX 03-6370-2756
【報道関係者問い合わせ先】企画部 TEL 03-6370-2725 FAX 03-6370-2756