伊吹鉱山 採掘跡地の樹林化に向けた試験緑化施工を開始
住友大阪セメント株式会社(社長:諸橋央典、本社:東京都港区)は、グループ会社の滋賀鉱産株式会社(社長:戎井昌彦、本社:滋賀県米原市)とともに、伊吹鉱山(滋賀県米原市)の採掘跡地での周辺森林と同様の樹林化を目指した緑化推進のため、鹿害対策を施した緑化の試験施工に着手しましたのでお知らせいたします。
【背景】
主に骨材用として石灰石を採掘する伊吹鉱山は、滋賀鉱産株式会社の運営により、従前より緑化事業として、採掘跡地を原生植物移植、張り芝、種子吹付による緑化工法で植生復元に努めて参りました。
昨年(2023年)、伊吹鉱山の標高1,000m~1,200mの周辺を対象として、住友林業株式会社 森林・緑化研究センターの協力の下、植生調査を実施した結果、緑化の遷移状況と伊吹山固有の希少種を含む植物の植生を確認した際に、広範囲での鹿による食害状況を多数発見しました。近年、野生鹿の増加による森林生態系への影響が懸念されていますが、伊吹山全体でも食害による下層に自生する植物の消失により、森林土壌表面の裸地化、流失、生態系破壊が起きています。
【取組の概要】
当社グループは、未来に向けて緑豊かな伊吹山を残すためには、効果的な鹿害対策と樹林化計画が必要と考え、京都大学大学院 農学研究科 高柳准教授の指導を受け、野生の鹿の生態、伊吹山の自然環境、斜面地での施工、など全てを考慮した鹿防護柵の設置と、鹿害に強い苗の植樹を行う等の試験施工を開始しました。
今後、試験施工での植生モニタリングを継続し、最適な樹林化手法の選定によって植樹・緑化範囲の拡大を目指すとともに、採掘跡地の景観回復、土石流の緩衝・斜面崩壊の抑止にも貢献し、伊吹山独自の生物多様性の保全、また採掘跡地の緑化によるCО₂吸収での大気中の炭素除去(ネガティブエミッション)を進めます。
【試験施工の概要】
鹿防護柵や、ツリーシェルター設置等の条件を変えた100㎡×3カ所の試験施工区域を設け、伊吹山に適した植物※や鹿の不嗜好性植物等の試験植樹を行い、モニタリングおよび植生管理を適宜見直しながら進めます。
※生物多様性の観点から、伊吹山の系統を持つ固有種の植物を用いる場合は、関係者の協力を受けながら計画的に伊吹山の樹木より種子採取や苗木生産を行います。
試験施工イメージ図:左から、単木防護(ツリーシェルター※採用)試験区、鹿不嗜好性の樹種試験区、鹿防護柵試験区
※ツリーシェルターとは、苗木一つ一つに被せる筒状の鹿食害からの防護材
試験緑化施工(植樹) 鹿不嗜好性植物「ミツマタ」 鹿防護柵
【地域との共生と方針】
従前から「伊吹山を守る自然再生協議会」への参加を通して、地域の様々なパートナーとともに伊吹山保全に協力しています。また、2024年8月には、滋賀鉱産株式会社と米原市の間で、地域資源を後世に守り伝えるとともに、地球温暖化対策や自然保護の持続的な推進を図ることを目的に「伊吹山植生復元プロジェクトの連携協力に関する協定書」を締結しました。
住友大阪セメントグループでは、ネイチャーポジティブ企業を目指し、生物多様性の保全に取り組んでおり、「生物多様性のための30by30アライアンス」への参加を通じて、日本全国の鉱山や遊休地、工場等周辺の生物多様性保全や回復への貢献を目指しています。
以上
【PDF版リンク】
プレスリリース(伊吹鉱山 採掘跡地の樹林化に向けた試験緑化施工を開始)
【報道関係者問い合わせ先】
企画部 TEL 03-6370-2725 FAX 03-6370-2756