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ニュースリリース

2025年01月30日

【世界初】CO2 再資源化人工石灰石を使用した紙を開発

 住友大阪セメント株式会社(社長:諸橋央典、本社:東京都港区)は、王子エフテックス株式会社(社長:安井宏和、本社:東京都中央区)、富国紙業株式会社(社長:加藤久美子、本社:東京都新宿区)と共に、CO2再資源化人工石灰石を用いた紙「ロカボ紙®(Low Carbon Paper:ローカーボン紙)」(以下、本製品)の開発に成功しました。

 本製品は、王子エフテックス株式会社の高級印刷用紙(ガリバーシリーズ)をベースに開発した、世界で初めて原料の一部をCO2再資源化人工石灰石(廃棄物に含まれるカルシウム源にCO2を鉱物固定※1して製造)に置き換えた紙です。

図1 本製品の製造イメージ

1.背景
 当社は2022 年2月より、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業「CO2 を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環である「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」の幹事会社として技術開発に取り組んでおり、高品位なCO2 再資源化人工石灰石の生成に成功、実用化に向け様々な利用方法を検討しています。
 従来、炭酸カルシウムはセメント・コンクリートを始め、多くの産業分野で物性改善などを目的に充填材として幅広く使用されており、紙の製造工程でも石灰石由来の炭酸カルシウムが用いられますが、本製品ではこれをCO2再資源化人工石灰石に置き換えることで、従来環境対応の取り組みが進んでいる製紙分野において、さらなる「CO2排出削減」が可能となりました。

2.今回の成果
 ロカボ紙®は、既存の特殊紙と同等の強度、印刷適正試験をクリアしつつ、従来の紙製品にはない「CO2排出削減」と「埋立処分場の延命効果」を兼ね備えた環境性能を実現しました。

(1)製造過程における「CO2排出削減」
 本製品で使用するCO2再資源化人工石灰石には1kg あたり約420g のCO2を鉱物固定することで、CO2の排出を削減しています。このようにCO2再資源化人工石灰石は、それ自身がCO2を固定化しているため、『単に混ぜるだけ』で高度かつ高効率なCCU を実現できます。

(2)廃棄物の再資源化による「埋立処分場の延命」
 現在、日本では埋め立て処分場の不足が深刻な問題となっており、廃棄物の減量・再資源化が急務となっています。本製品に用いられるCO2再資源化人工石灰石は、原料にカルシウムを含む廃棄物を再利用しており、廃棄物を減らすことで埋立処分場の延命に貢献できます。

3.今後の展望
 今回の開発成果であるロカボ紙®は、世界の最先端技術が集う2025 年の大阪・関西万博にて、住友グループのパビリオン『住友館』の記念品(ポストカード、メモパッドなど)に使用されます。

図2 メモパッド・ポストカードイメージ

 住友大阪セメント株式会社、王子エフテックス株式会社、富国紙業株式会社は、今後もCO2再資源化人工石灰石の適用量の拡大、本製品の安定供給技術および事業展開について引き続き検討を進めるとともに、さらなるCO2削減のための技術開発を進め、社会全体でのカーボンニュートラル実現に向けたセメント業界-製紙業界双方の一モデルとして発信してまいります。

以上

※1 鉱物固定 :CO2を鉱物(Ca)と反応させ、鉱物内に閉じ込める(石灰石に変化させる)技術

【PDF版リンク】
【本件の製品に関するお問い合わせ先】
 住友大阪セメント株式会社 セメント・コンクリート研究所 TEL 047-457-0185

【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】
 住友大阪セメント株式会社 企画部 TEL 03-6370-2725

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