CO2再資源化人工石灰石を使用したゴム製品を開発
住友大阪セメント株式会社(社長:諸橋央典、本社:東京都港区)は、住友ゴム工業株式会社(社長:山本悟、本社:兵庫県神戸市)と共に、CO2再資源化人工石灰石を使用したOA機器用ゴムローラーの開発に成功しました。
本製品には、原料に用いる石灰石をCO2再資源化人工石灰石(廃棄物に含まれるカルシウム源にCO2を鉱物固定※1して製造)に置き換えた合成ゴムコンパウンド※2を使用しました。
住友グループ間でのCO2再資源化人工石灰石を用いた共同製品開発は今回が初の取り組みで、開発成果を用いた最初の製品であるOA機器用ゴムローラーは、世界の最先端技術が集う2025年大阪・関西万博の住友グループのパビリオン、住友館『ミライのタネ※3』にて展示中です。
図1,CO2再資源化人工石灰石の製造イメージ 図2,製品イメージ
1.背景
当社は2022 年2月より、NEDO※4のグリーンイノベーション基金事業「CO2 を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環である「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」の幹事会社として技術開発に取り組んでおり、高品位なCO2 再資源化人工石灰石の生成に成功、実用化に向け様々な利用方法を検討しています。
石灰石の主成分である炭酸カルシウムは、従来よりセメント・コンクリートを始め、多くの産業分野で物性改善などを目的に『充填材』として幅広く使用されており、ゴム製品においても一般的に使用されている充填材です。本製品ではこれをCO2再資源化人工石灰石に置き換え、既存製品と同等の性能を持つことを確認したことで、CO2再資源化材料のゴム分野での有効活用が可能となりました。
2.今回の成果
本製品は、CO2再資源化人工石灰石を充填材に使用することで、「CO2排出削減」と「埋立処分場の延命効果」を兼ね備えた環境性能を実現しました。
(1) 製造過程における「CO2 排出削減」
本製品で使用するCO2 再資源化人工石灰石には1kg あたり約420g のCO2 を鉱物固定しており、住友ゴム工業が生産しているOA 機器用ゴムローラーすべてに適用された場合、年間で約36 トンのCO2削減が見込まれます。このようにCO2 再資源化人工石灰石は、それ自身がCO2 を固定化しているため、『単に混ぜるだけ』で高度かつ高効率なCCU を実現できます。
(2) 廃棄物の再資源化による「埋立処分場の延命」
現在、日本では埋め立て処分場の不足が深刻な問題となっており、廃棄物の減量・再資源化が急務となっています。本製品に用いられるCO2 再資源化人工石灰石は、原料にカルシウムを含む廃棄物を再利用しており、廃棄物を減らすことで埋立処分場の延命に貢献できます。
3.今後の展望
ゴム製品は多岐にわたり、CO2再資源化人工石灰石の適用を進めることでカーボンニュートラルに広く貢献する可能性を秘めています。今後、住友大阪セメント株式会社、住友ゴム工業株式会社は、自動車タイヤ用のゴムをはじめとする様々なゴムへのCO2再資源化人工石灰石適用に向けた開発を進め、セメント-ゴム業界の『産業間連携』で2050年のカーボンニュートラル実現を目指します。
※1 鉱物固定 :CO2 を鉱物(Ca)と反応させ、鉱物内に閉じ込める(石灰石に変化させる)技術
※2 合成ゴムコンパウンド:ゴム製品に必要な性能(強度、弾性、耐熱性、耐摩耗性、電気特性など)を実現するために、合成ゴムに各種配合剤を加えて最適化した原材料。今回使用した合成ゴムは、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、GECO(エピクロルヒドリンゴム)など。
※3 ミライのタネ:EXPERIENCE | ミライのタネ | 大阪・関西万博「住友館」
※4 NEDO :国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
【PDFリンク】
プレスリリース(CO2再資源化人工石灰石を使用したゴム製品を開発)
【本件の製品に関するお問い合わせ先】
住友大阪セメント株式会社 セメント・コンクリート研究所 TEL 047-457-0197
住友ゴム工業株式会社 ハイブリッド事業本部 企画部 TEL 079-458-8451
【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】
住友大阪セメント株式会社 企画部 TEL 03-6370-2725
住友ゴム工業株式会社 広報部 TEL 03-5546-0113(東京) 078-265-3004(神戸)