環境報告 - CSRレポート2011 -

トップメッセージ

セメント事業で培った信頼と技術を基盤に、豊かな社会の維持・発展に貢献する

東日本大震災への対応

去る3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

当社グループでは、地震後ただちに本社およびグループ会社の従業員の安全確認とお取引先等の被災状況の情報収集を行い、事業継続計画(BCP)に基づいた危機対応管理を実行し、事業継続のためのバックアップ体制を整えるよう対応・指示いたしました。幸いグループ会社内に人的被害はなく、生産・物流拠点についても、早期復旧に向けて全社を挙げて取り組みました。被災地にある子会社の八戸セメント梶i青森県八戸市)は、八戸港の復旧が早く4月には操業を再開し、仙台(宮城県)と小名浜(福島県)のセメント供給拠点も既に復旧致しました。今後は、引き続き被災地へのセメントの安定供給に万全を期し、一刻も早い復旧・復興に貢献してまいりたいと思います。

CSRへの取り組みについて

日本は小さな国土ながら、地震や台風など世界でも有数の自然災害が多く発生する地域にあり、国土保全は自然災害との闘いの歴史でもあります。自然の驚異そのものを防ぐことはできませんが、防災技術の向上やコンクリートによる構造物によって被害を最小限にとどめることは可能です。そういった面でセメント・コンクリートが社会に果たしている意義をより広く認識し、グループ全従業員が誇りと使命感をもって事業に取り組む姿勢が重要であると考えています。

当社グループは、創業以来セメント業をコア事業として社会インフラ整備という公的な事業の一端を担ってまいりました。また、セメントの製造プロセスの特徴を生かし、他産業で発生した廃棄物や副産物のリサイクル事業を展開するなど、循環型社会の構築に貢献しています。

当社グループはセメント製造での“動脈産業”とリサイクル事業での“静脈産業”、これら二つの事業を確実に発展させ、地球環境にも配慮した、社会から信頼される経営を目指すことで当社の「CSR」を推進してまいります。

セメント事業を基盤とした多様な事業活動

ここ数年国内セメント需要は低迷していますが、今回の震災を契機に、耐震性の向上や既存構築物の補強工事などに不可欠なセメントの存在意義に対する認識が高まるものと予想されます。当社グループがそのような環境でセメントの安定供給責任を果たしていくためには、技術開発と省エネルギー対策を積み重ねながら、セメント事業で適正な利潤を追求し、事業を継続するための再投資可能な体制を構築することが重要であると考えています。

たとえば、省エネルギー分野ではセメント工場で自家発電を行い工場操業用の電力を賄っています。また余剰電力は地域電力会社に売電し昨今の電力不足にも多少なりとも貢献させていただいております。更には粉砕や燃焼といったセメント会社が得意とする技術を応用し、環境への負荷を低減するために、CO2排出を抑える「バイオマス発電」も導入しております。

一方、セメント事業の研究開発から派生したいくつかの事業も行っております。最近新たな広がりを見せている分野としては、電気自動車をはじめとして今後幅広い分野で需要が広がると予想される「リチウムイオン電池正極材料」があります。震災後におきた節電に対する意識の高まりから、「一般家庭用蓄電池」の需要が増加しております。当社は、今後の需要を見込み2012年稼働予定でベトナムに工場を新設することも決定いたしました。更には超微粒子の分野で約20年前から研究を続けている独自のナノテクノロジーやハイブリッド技術をつかって紫外線をシャットアウトする化粧品向け新材料なども開発しております。これらは一見セメント業とはかけ離れていますが、どれも「たゆまない技術開発と多様な事業活動を通じて、より豊かな社会に貢献する」という企業理念に則って研究開発に取り組んできた成果です。

地球環境に配慮した地域との共生と貢献

鉱山や規模の大きな工場・設備を所有するセメント業では、それらの周辺地域社会と相互に信頼し共生していくことはCSRを考える上でも重要なテーマとなっています。地域社会の一員として地域の皆さまと日々交流しながら、それぞれの地元に根差した活動を行っています。

これまでにも地球温暖化対策の一環として、工場からの温室効果ガス排出規制などに積極的に取り組んでまいりました。高知工場では地元の皆さまと協力して周辺の山林再生を目的に間伐作業を行い、その間伐材を使った発電事業を行ったり、赤穂工場では地域のごみ焼却灰の再資源化事業を行うなど、当社の技術やノウハウを生かして、周辺地域の環境の改善や地元の抱える問題を解決する取り組みを行っています。

長崎県対馬におけるツシマヤマネコの保護活動には、2007年から取り組んでいます。当社所有の山林に日本で2番目の絶滅危惧種に指定されているツシマヤマネコが生息していたことから、地元保護団体の皆さまの要請により始まった活動です。現在では保護というだけにとどまらず、保護団体や研究者、地域の皆さまと連携して、ツシマヤマネコのすむ山林における生物多様性の維持や啓発活動も行っているほか、対馬の周辺海域での漁礁を使った海の森づくりなどにも広がりを見せています。

現地での活動だけでなく、活動状況を東京本社でグループ従業員に説明・報告し、対馬で栽培されたツシマヤマネコ米をグループ社員が購入するなど、従業員にも活動が浸透しており、グループ全体の取り組みとしてとらえています。

再投資可能な事業体制の構築へ

2011年度は2009年度からの「101中期経営計画」の最終年度にあたります。既存事業における収益力向上と事業拡大による新たな事業基盤構築という両輪経営を掲げ計画は着実に進捗しています。今後は、今回の震災という大きな社会的変化をふまえ、また厳しい経済環境や競争の激化などの事業環境を見極め、さまざまな点を見直し課題を解決していく必要があると考えています。また国内市場が縮小傾向にある中、海外での事業展開に積極的に取り組むなど、収益基盤の強化を図ることを目指していきます。

当社グループは、創業以来104年にわたって培ってきた技術と信頼を守り、今後とも社会に基礎資材を提供する企業グループとして貢献してまいります。これからもステークホルダーの皆さまの温かいご支援、ご指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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