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セメント・コンクリートの重要性が見直された1年

この1年を振り返りますと、日本にとっても私どもセメント業界にとっても転機となる重要な1年であったと言えます。東日本大震災後の復旧・復興に日本中が力を注ぎましたが、その後も台風や豪雨などの大きな災害が続きました。日本は南北に細長く急峻な地形で、世界でもまれにみる災害大国です。この環境を冷静に考え、長い目で見ると、災害から「守る」「備える」ということだけでなく、「二次災害を出さない」「緊急に対応する」ということも重要であり、より大きな視点からの治山治水という考え方が重要になっています。そのようななかで、セメント・コンクリートが基礎資材として果たす役割の大きさも再認識されたのではないでしょうか。一方で、日本の高度成長期に造られた道路や橋梁、ダム、防波堤などの建造物は老朽化が進んでおり、抜本的な補修が必要とされるものが数多く存在しています。防災意識の高まりや安心・安全への取り組み強化といった観点から、それら構造物の改修・改築工事も重要となってくるでしょう。

また、コンクリートによる道路舗装はライフサイクルコスト(LCC)の面からも、その良さが見直されています。20~30年は補修がいらないという耐久性をはじめ、表面が熱くならないことから温暖化対策にも効果があり、原料が国内でまかなえるという点も評価されています。コンクリート舗装の推進は国の方針にも明記されました。長期的には、今後の都市計画やまちづくりプロジェクトの中に取り込まれていくことになると思われます。これらのニーズに対応するためにも、品質の優れたセメント・コンクリートを安定的に供給することは当社グループのミッションであるととらえ、効率的な工場の稼働・操業を行いながら万全な供給体制を整えていきます。

優れた品質の維持とリサイクルに貢献する廃棄物処理技術

セメント業界の収入面を支えている産業廃棄物処理の分野は、本業に隠れてなかなか一般の方々のご理解をいただけていませんが、セメント業界全体では年間2,700万トン(東京ドーム16杯分)の産業廃棄物処理を行っています。これはセメント事業が廃棄物を細かく選別しながら高温で処理できる技術と設備を有しているからこそできる特殊な事業です。昨今の「循環型社会」という意識の高まりの中では、リサイクル・リユースという概念が大変重要ですが、それを具体的かつ技術的に可能にしている事業であるといえます。高度な処理技術力と同時に、「廃棄物処理法」に基づいた適正な処理や管理の実施と併せて、セメント品質も要求される、これらを両立出来るセメント製造業は極めて直接的に循環型社会に貢献しています。

震災後、災害廃棄物(がれき)は現時点で15%くらい処理できたといわれていますが、処理能力や放射能除去、運搬の問題、住民の皆様のご理解を得ることなどを考えるとまだまだすべての処理には長い時間がかかるものと思われます。当社グループの八戸セメント(青森県)は自治体からの要請を受け、周辺住民の皆様との話し合いを重ねながら、業界で最初に災害廃棄物の広域処理を引き受けることを決定し、今年3月より宮城県と岩手県からの受け入れを開始しました。今後も要請があれば、被災地の復興に対しては可能な限り貢献していきたいと考えています。

地域との共存・共生を図る環境事業

広い敷地と大きな設備を有するセメント工場では、周辺住民の皆様をお招きする工場見学会を通じて、セメント事業だけではなく、産業廃棄物の処理など工場が果たしている役割をご理解いただけるような取り組みを行っています。

また、高知、赤穂、栃木の各工場では自家発電を行い、操業用の発電を賄うほか、余剰電力は売電し、昨今の電力不足に多少ながら貢献しています。さらに、高知工場の火力発電設備においては、石炭の一部を間伐材などの木質バイオマス燃料に置き換えることで、化石燃料の削減と同時に、工場周辺の山林再生を目的とした森林整備につながっています。

2007年から始めた長崎県対馬の絶滅危惧種「ツシマヤマネコ」の保護活動も、周辺の森林や海域の生物多様性の維持という広がりを見せています。最近では、各支店の全ての営業車(150台)にツシマヤマネコのステッカーを貼るなどの広報活動を進めておりグループ社員の関心も高まっています。今後は社外への認知活動も進め、この環境活動の広がりをきっかけとして、当社グループの事業に対するご理解を一層深めていただければと考えています。

当グループはまた、エネルギー分野についても、これから必要されるものとして取り組みを進めています。ナノマテリアルの研究開発から生まれた「リチウムイオン電池正極材料」は、今秋にはベトナム工場が稼働を始めるなど供給体制を整えています。節電や災害時の非常用電源など「暮らしの安全・安心」という観点から家庭用蓄電池のニーズは高まっているほか、今後は電気自動車の普及を見込んだ需要の伸びも期待されており、当社も材料供給を通じて、皆様のより豊かな暮らしの実現に貢献していきたいと考えています。

グループを挙げて、CSRを意識した事業活動へ

当社グループでは、セメント・コンクリートの安定供給を前提に事業継続計画(BCP)を作成し、いかなる場合でも人命を優先しながら操業を続け、安定的に供給を継続することをふまえた対策・体制を整えています。例えば、高知工場では、津波被害を想定して、中央操作室を津波被害が最も低減できる場内最高地へ移動する準備を進めています。

一方で昨年は当社の不適切会計処理が発覚しました。これにつきましては、当社創業以来の最大の恥辱と受け止めており、株主・ステークホルダーの皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。東京証券取引所に提出した改善報告書に基づき、是正措置とガバナンス体制の見直し、グループ全社へのコンプライアンスの徹底などを行いました。グループ役職員一同、処分を真摯に受け止め謙虚に反省し、当社の企業理念、行動指針を今一度心に刻んで、新しいスタートを切ることをお約束いたします。また、今後、住友大阪セメントグループ全社で今回のことを風化させることのないよう、「コンプライアンスの日」を制定し、毎年見つめ直してまいります。

ステークホルダーの皆様には、当社グループの社会に果す役割をご理解いただき、より厳しい目でご指導ご鞭撻いただきますよう、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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