CSRへの取り組み トップインタビュー

坂下千里子 様
Profile
京都府出身。特技は書道。2児の母親でありタレントとして活躍中。実家が、住友大阪セメント㈱の特約販売店である「五條セメント販売㈱」を経営。現在、NHK「これでわかった!世界のいま」レギュラー出演中。

2017年6月、タレントの坂下千里子さんをお迎えし、住友大阪セメントの事業やCSR活動について、社長の関根福一との対談を行いました。京都にある坂下さんのご実家は、祖父の代からセメント販売会社を経営し、現在も当社のお取引先です。
 今回の対談では、坂下さんにとって身近なセメント業界における環境課題への貢献や、当社の女性活躍・ダイバーシティへの取り組みなどについて、熱心なご質問をいただきました。

住友大阪セメントは何をする会社か

関根 坂下さんのご実家とは、お祖父様の代から60年近くお取引させていただいています。当社は、明治40年に設立された磐城セメントから始まっていて、昭和38年に住友グループへ加入し、住友セメントになりましたが、そのころからのお付き合いということになります。その後、平成6年に住友セメントと大阪セメントが合併して、現在の住友大阪セメントになりました。

坂下 私自身は実家の仕事の関係もあり、昔から住友大阪セメントの名前は良く知っているのですが、詳しいことはあまり知りません。改めてどういったことをされている会社なのでしょうか。

関根 名前の通りセメント専業メーカーという位置づけで、セメント事業が売上の7割を占めます。セメントは、水、砂、砂利と混ぜることでコンクリートになります。住宅やマンション、ビル、道路、鉄道、空港、港湾、橋、トンネル、ダムなどあらゆる社会インフラで使われ、人々が生活する上で欠かせないものです。他にセメント関連事業では、セメントの主原料となる石灰石を鉱山から採掘し販売する鉱産品事業や、老朽化した社会インフラを補修する材料などを扱う建材事業があります。
 高機能品事業では、携帯電話の基地局や海底ケーブルなどで使われるLN変調器という光通信部品を作る光電子事業や、セラミック製品や化粧品の原料などを作る新材料事業があります。LN変調器はニッチな産業で、世界で4社、そのうち日本では2社しか作っていません。そしてあまり知られていませんが、化粧品原料は多くの化粧品メーカーに採用されています。他に電池材料事業もあり、プラグインハイブリッドの自動車などに使われるバッテリーの材料である正極材というものを作っています。

坂下 社名からセメントのイメージが強かったのですが、とても幅広く事業を展開されているのですね。化粧品の原料も製造しているとは驚きました。

関根 今後長い目で見ると、人口減少に伴って国内のセメント市場が縮小することは間違いありませんので、いろいろな新しい事業を以前から展開してきました。今申し上げた高機能品事業は、ようやくそれぞれが独り立ちしてきたかなというところです。

日本のごみの4%がセメントに生まれ変わる

坂下 住友大阪セメントの事業が、どのような形で社会貢献へつながっているのか、教えていただけますか。

関根 セメント工場では、人々の日常生活から出る一般廃棄物、企業活動から生じる産業廃棄物・副産物といったものを回収して、セメント製造の原料や燃料として使います。セメント業界全体では日本で発生するすべてのごみの約4%をセメントとしてリサイクルしています。しかも二次廃棄物は一切発生しませんので、埋め立てなどの最終処分も必要ありません。私は、セメント産業は究極の環境産業だと思っています。

坂下 産業廃棄物・副産物を受け入れるだけでなく、二次廃棄物を出さないなんてすごいですね。はじめて知りました。

自治体では処理できない焼却灰

関根 兵庫県にある赤穂工場は関西圏唯一のセメント工場で、見学される方も多いのですが、「こんなにたくさんものを処理しているのですか」とびっくりされます。帰りには、「ファンになりました」とおっしゃってくださる方もいらっしゃいます。 最近では東京23区と横浜市のごみ処理場で発生する焼却灰の一部を貨車に積んで青森県にある当社グループの八戸セメントまで運んで処理しています。

坂下 一般の生活から出る廃棄物は、地元の自治体が処理するものと思っていましたが。

関根 焼却灰などの残ったものは一般の焼却場では処理できないのです。今は、埋めればいいというような時代ではないので、私どもが引き受けて、セメントの原料にしています。いろいろなものが入っていて、ただ混ぜて使うというわけにはいかないので、サンプル分析をして必要に応じて前処理をして、セメントの原料にします。

震災のがれきをセメントにして復興に役立てる

関根 東日本大震災では、東北地方がたいへんな被害を受けたのですが、復興に向けて困ったのが震災がれきの処理でした。八戸セメントでは、被災地で発生したがれきを約10万トン処理しました。
    災害廃棄物の広域処理(発生県以外での処理)の日本での第一号です。一昨年は、栃木県・茨城県を流れる鬼怒川の堤防が決壊して水に浸かった民家の畳などが茨城県常総市で大量に発生しました。今の畳は、中に発泡スチロールが入っていて断裁するのも困難なので、当社の栃木工場近くにある日本最大規模の破砕機で大量の畳を引き受け、処理しました。また昨年は、熊本地震による倒壊家屋などから出た木屑を高知工場で受け入れました。

坂下 そんなに社会に貢献しているのですね。

ツシマヤマネコの住む森

坂下 自然環境への取り組みは、どのようなものがあるのですか。

関根 以前はセメントの原料として、天然の粘土を使用していたのですが、いまは、火力発電所が稼働するときに、発生する大量の石炭灰を粘土の代替としているため、山から粘土を採掘する必要がなくなりました。当社には、粘土を一度も掘ったことのない約16ヘクタールの粘土山が長崎県対馬にあるのですが、そこにツシマヤマネコが住んでいるんですね。ツシマヤマネコは対馬にだけ生息している固有のヤマネコです。70頭から100頭くらいしかいないということで、環境省が定める二番目の絶滅危惧種となっています。ちなみに一番目が佐渡の朱鷺(とき)です。ツシマヤマネコを絶滅させないという取り組みも会社をあげてやっていますので、このような場で皆様にお伝えしていきたいと思っています。

坂下 ツシマヤマネコの生息している森を所有しているなんて、すごいことですね。もっとアピールされた方がよいと思います。

関根 ほかには、石灰石を採掘した後の鉱山に、草木を植える鉱山緑化にも取り組んでいます。鉱山には、剝土(はくど)といって、表層部の土があるのですが、その剝土に生えている植物を保管しておいて、採掘跡地に、それをまた戻します。土を戻した後に種を吹き付けてしまえば簡単なのですが、外来種などが混じってしまうと元の植生にもどらない。以前の状態に復元して緑化するという、ものすごく手間がかかることを40年以上やっています。自然からいただいた原料で事業をやらせてもらっていますので、また元の自然に戻していくという取り組みです。

坂下 環境意識のとても高い会社なのですね。今は世の中の環境に対する意識が高まっているので、そういう考え方は当たり前かもしれませんが、それを40年以上も前からやっていらっしゃるんですね。

関根 そういう意味では、当社の先輩方が取り組んできたことを、我々は受け継いでいかなくてはならないと思います。

安心・安全な暮らしを守る

坂下 防災・減災にもセメントが活躍していると伺いました。

関根 もともと日本は降雨量が世界平均の2倍あるうえに、最近は災害が激甚化しています。さらに地震大国であり、世界のマグニチュード6以上の強度地震の20%が日本で起きている。2014年の広島の土砂災害では、大雨で土砂が一気に下って多くの人が巻き込まれて亡くなりました。それをきっかけに、国土交通省が日本には約53万箇所も土砂災害で危険な場所があるとして、砂防ダムや河川の護岸などを作って国土強靱化というものを始めたところです。私は、日本には治山治水がどうしても必要だということを常々申し上げていますが、インフラの整備にセメントは必要不可欠な商品です。

CSRへの取り組み トップメッセージ

女性が活躍する会社にしたい

坂下 仕事をする女性が増えてきていますが、住友大阪セメントではどうですか。

関根 昨年、女性をはじめ多様な人材がいきいきと働ける企業をめざし、ダイバーシティ推進グループを人事部に立ち上げました。その時に私は、まず当社の女性社員全員にヒアリングするよう指示しました。それで、我こそものを言いたいという女性社員がいたら、どこに在籍していても本社に出張してもらうよう取り計らい、議論の場を設けました。

坂下 素晴らしい。

関根 女性は結婚したり、夫の転勤についていったり、子供が生まれたりしてやめるケースがすごく多いわけです。一度退職しても、また働きたい場合には一定の条件を満たせば再雇用するという制度を考えました。ヒアリングの結果を聞いたら、そういうニーズが多かった。
 また、セメント業界はもともと女性が少ないので、なかなか難しいところもあるのですが、私はできれば総合職の2割は女性を採用したいと思っています。今、女性管理職は9名で、セメント会社としては、一番多いですね。近いうちに女性部長が誕生すると思います。

坂下 私の周りでも、やはり出産を機に辞めていくんですよね。本当にその職が大好きだったのに、職を変えてパートをやり出したりとか。戻りたい時に、正社員で戻してくれる会社は、なかなかないと聞きますけど。

関根 当社は100%そうしています。育児短時間勤務も、小学校に上がるまで取得できます。その取得期間を小学校の間までにするとか、そういう議論をしている最中です。

坂下 私は今、小学校3年生と1年生の子供がいるのですが、「小1の壁」という言葉があるくらい1年生は大変です。幼稚園から小学校に上がるときというのは、子供にとってはすごく大きなステージの変化で、母親としてもそれを見守りたい。3年生くらいになると子供も学校に慣れてきて、外で働きだせるタイミングだと感じる母親が多いのではないかと思うので、小学2年生くらいまで、育児短時間勤務を使えると女性はすごくありがたいと思います。

関根 どこまで実現できるかはわかりませんが、時代の流れでもあるし、またそうでなかったら、会社が存続していけないと思います。

坂下 そうですよね。事業を通じて多くの立派なことをされているのに、その辺りがきちんとしていなかったら、ちょっと残念ですよね。

関根 これからは人口も少なくなりますので、男女を問わず、能力を発揮してもらわないと会社は存続できないかもしれない。みんなで一緒になって考えていくことが重要だと思いますね。

坂下 企業も一緒に子供を育てるという感覚でいてもらえたら、少子化は解消するのではないかと思います。

CSRへの取り組み トップメッセージ

社員がいきいきとしている強い会社に

坂下 関根社長は住友大阪セメントをどんな会社にしたいと思っていらっしゃいますか。

関根 この4月から新たな中期経営計画がはじまっています。中期経営計画そのものは3年間の計画ですが、10年先を見こして当社はどうありたいんだということを、役員をはじめ管理職が合宿をして徹底的に議論し、練り上げて作りました。私としては、次の世代とその次の世代が困らないように、会社が抱える多くの課題を洗い出して、問題を先送りしないという強い思いで臨みました。この3年間で解決するか、解決できない問題であれば少なくとも着手するということで、5月に発表しました。したがって、3年後にはかなりいい会社になっていると思います。一言でいうと、より明るくて強い会社です。働く社員もいきいきとして、競争力のある会社になるということです。そのため、強いところをより強くしようと、省エネや効率化の設備にかなり大きな投資をしています。
 また当社は、セメントを運ぶ21船の船団を持っていて、毎年、1船が作り替えの時期を迎えますので、より効率の良い船をつくって競争力を強化します。そのほかには、福島県の復興やリニア新幹線の需要に対応するため、設備への投資を進めているところです。相当な額の投資になりますが、今やっておけば近い将来利益を生むことと思います。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックのあと、国内需要が減少しても廃棄物処理が滞ることがないよう輸出にも力を入れて生産数量を確保し、今後も循環型社会への責任を果たしていきます。

坂下 今後も社会貢献を続けて行き、より明るくて強い会社にしていきたいとお考えなのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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